2018年12月22日

The Player Not The Game - Jess Roden (Island/UMG)



1960〜80年代にかけて数多くのバンドを渡り歩いたイギリスのシンガー、ジェス・ローデンが1977年にソロ名義でリリースしたアルバム。フリーソウルのシリーズで再発されており、ロバータ・フラックやベット・ミドラーを手掛けたジョエル・ドーンがプロデュースを務めたサウンドはかなり洗練されているが、内容的にはAORというよりは彼のブルース・ルーツが窺えるかなり渋めのボーカルアルバム。



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Best Kept Secret - Stylus (EMI/UMG)



オーストラリアの白人R&Bバンド、スタイラスが1978年にリリースしたサードアルバム。ヒットチャート的に大きな成功を収めることはなかったが、今でいうところの“AORディスコ”的なサウンドは当時高い評価を受けたようで、本作はアメリカでモータウンの傘下レーベルを通じてリリースされている。


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2018年12月19日

Stop The World - We Wanna Get On... - Hearts of Stone (Motown/UMG)



1970年にモータウン系列のVIPからリリースされたR&Bボーカルグループ、ハーツ・オブ・ストーンのファーストアルバム。当時ヒットチャート上の成功はなかったが、ノーザンソウル系の佳曲を数多く収録しており、90年代のフリーソウル・ムーブメント以降定番的な評価を確立している。


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Fame Northern Soul (Kent Dance)



アラバマ州マッスルショールズのフェイム・レコードからリリースされた作品から、ノーザンソウル・テイストの作品を集めたコンピレーション。アメリカ南部ソウルというと歌い上げ系のソウルバラードをイメージしがちだが、お隣のテネシー州メンフィスにあるスタックスを例に挙げるまでもなく、ゴリゴリの縦ノリビートで盛り上がるヒット曲も数多く生まれている。南部ソウルのなじみ深いアーティストによる、これまでとちょっと違ったテイストのコンピレーションとして興味深く聴くことができる。


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Soul of A Nation: Jazz Is The Teacher Funk Is The Preacher (Soul Jazz)



ソウルジャズ・レコード編集による1970年代初頭に生まれた新しい視点のジャズ/ファンクを集めたコンピレーション。アメリカ社会の人権意識の高まりに伴いR&Bに多様な思想性や音楽性が持ち込まれた音楽を“ニューソウル”と呼ぶとすれば、こちらはさしずめ“ニュージャズ”。メッセージ性ばかりでなく独特なグルーヴ/空気感で、その後のクラブミュージック・シーンに多大な影響を与えた作品が多く収録されている。


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2018年12月16日

You Ought to Be Havin' Fun: The Columbia/Epic Anthology - Tower of Power (SoulMusic)



タワー・オブ・パワーが70年代後半にワーナーからコロンビアに移籍した時代と、90年代に入ってエピックと契約しリリースしたアルバムからの作品選。ワーナー時代と比較しヒット曲は減ったが、依然ソウルフルな作品を送り出し続けた彼らの活動の充実ぶりが伝わるコンピレーション。


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Ultrafunk/Meat Heat - Ultrafunk (Robinsongs)



イギリスのコンテンポ・レコードが70年代半ばにリリースしたスタジオ・ファンク/ディスコグループ、ウルトラファンクのアルバム2作をカップリング。当時日本でもリリースされたらしいノヴェルティ・ディスコ「カンフー・マン」を収録したセルフタイトル・アルバム(74年)は他のインスト・ナンバーがかなり急造な印象。77年にリリースされた「Meat Heat」はファースト以降にリリースされたシングル作品も収録されており、ディスコミュージックとしてかなりこなれた内容。


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Ain't It Amazing: The Unreleased Westbound Masters - C.J. & Co. (Westbound/Ace)



モータウンのセッションマンだったデニス・コフィらが手掛けたR&Bグループ、C.J. & Co.が70年代半ばに録音しながらお蔵入りとなっていた音源の発掘盤。トム・モールトンのリミックスによりヒットしたディスコ・クラシック「Devil's Gun」の原型であるオリジナル・ミックスを、ここで初めて聴くことができる。



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2018年12月13日

Hang On in There Baby - Johnny Bristol (Polydor/UMG)



何年か前にリリースされ、その時は入手し損ねていたフリーソウル系の1,000円CDが最近再プレスされたようで、遅ればせながら何枚か購入。こちらはモータウンで数々のヒット作を生んだプロデューサー、ジョニー・ブリストルがアーティストとして独立し、MGMからリリースしたファーストアルバム。本作からはポップチャートでもTOP10ヒットを記録したアルバムタイトル曲が生まれているが、当時はバリー・ホワイト率いるラヴ・アンリミテッド・オーケストラの「Love's Theme」が一世を風靡しており、同曲のストリングスやAORの原型のようなサウンドが数々の模倣作を生んだ時期。「Hang On 〜」も例にもれず空飛ぶようなストリングスがフィーチャーされているが、単なる模倣作にとどまらない仕上がりとなっている。もう一曲収録されているヒット「You And I」も同系統で、90年代に“フリーソウル”のキーワードの下、盛んに再評価された典型のようなサウンド。


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Keepin' Up with The Joneses (Mercury/UMG)



ピッツバーグ出身のR&Bボーカルグループ、ジョーンジズのファーストアルバム(74年作)。バリー・ホワイトを思わせるバリトンのハロルド・テイラーのボーカルと、フィリー・ソウルの強い影響を感じさせるメロウなサウンドが雰囲気を醸し出しており、本作からは3曲のR&Bヒットが生まれている。


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It Must Be Love - Alton McClain & Destiny (Polydor/UMG)



モータウンの名プロデューサー、フランク・ウィルソンが1977年に手掛けた3人組ガールグループ、アルトン・マクレインとデスティニーのファーストアルバム。フリーソウル・クラシック「It Must Be Love」を収録。


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2018年12月10日

New Jack Swing: The Best Collection (Universal Music)



2018年はニュー・ジャック・スウィング(以下NJS)が登場して30周年にあたる(!)そうで、それを記念した3枚組コンピレーションがリリースされた。NJSの生みの親であるテディ・ライリー関連の音源から、サウンドを爆発的に世に広めることに貢献したニュー・エディションのメンバーたち、後のR&Bシーンを担っていく才能溢れるボーカリストやブームの便乗組(?)までを含めた80年代末〜90年代初頭のR&B一大絵巻。大ヒット曲や重要曲を中心に選曲されているので、当時の音楽シーンを知る者であれば誰もが楽しめる内容となっている。


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DA BEST of 90s: Blazin' Hot R&B and New Jack Swing (Sony Music Labels)



こちらは「TOKYO TRIBE」シリーズで知られる漫画家/デザイナーの井上三太選曲による90年代R&B集。一部「New Jack Swing」と選曲が被るがむしろその後のR&Bシーンに重点が置かれた選曲となっており、ニュー・クラシック・ソウルやヒップ・ホップと融合した新しいスタイルのR&Bなど、誰もが知る特大ヒットから思わずのけ反りそうになる懐かし系ヒットまで、選曲者のR&Bへの強いこだわりと愛情が伝わってくる3枚組。

個人的にもR&Bシーンを追いかけるのが非常に楽しかったあの時代を思い起こさせる内容になっており、年明けにはこのあたりの音楽が大量に1,000円CD化されるという噂もあるので、このブログで90年代R&Bを取り上げる機会が増えることを楽しみにしている。


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Unsung - Imani Coppola (7a)



1997年に全米チャートのTOP40入りを果たしたイマー二・コッポラの「Legend of A Cowgirl」というヒット曲をご存じだろうか。ドノヴァンの「Sunshine Superman」をサンプルに使用した非常に風変わりなポップナンバーで、当時ヒットチャートを追いかけていた(兼オールディーズ好きの)僕には非常に強烈な印象として残っている。

結局その一発のみで表舞台から姿を消した彼女の活動20周年(!)を記念して、どういう訳かこれまでモンキーズ関連の復刻音源ばかりをリリースしていた7aレコード(レーベル名はモンキーズの「Daydream Believer」冒頭の台詞に由来している)からベスト盤がリリースされた。ライナーノーツに詳しいデータが記載されていないのでこれまでの経緯はよくわからないが、メジャーレーベルとの契約終了後も彼女は粘り強く音楽制作を続けていたようで、モダンなポップナンバーばかり20数曲が収録されている。現在まだ40代前半の彼女、これをきっかけに再び注目されることを願いたい。


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2018年12月07日

Magic Touch: The Complete Mustang Singles Collection - The Bobby Fuller Four (Now Sounds)



テキサス州エルパソから登場し「I Fought The Law」「Love's Made A Fool of You」といったバディ・ホリー直系のヒットを連発。しかしそのさなかの1966年に23歳の若さで早世した謎多きロックシンガー、ボビー・フラーの活動の全貌を捉えた素晴らしいコンピレーション。初期のサーフロック風シングルからブレイク後の作品、更に彼が手掛けたアーティストやボビー急逝後実弟がボーカルを務めた「ランディ・フラー・フォー」の録音まで、彼の太く短い音楽人生を凝縮したような一枚。


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Belfast Gypsies (Oldays)



ヴァン・モリソン独立後のゼムのオリジナルメンバー数名が結成し“新生ゼム”を匂わせながら活動を行ったベルファスト・ジプシーズが北欧のみでリリースした唯一のアルバム(67年作)。ロック界の山師キム・フォウリーがプロデュースを手掛け、ガレージロック色の強い内容となっている。


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The Pyramids Play The Original Penetration! (Oldays)



1964年に「Penetration」の一発ヒットを放ったスキンヘッドのサーフバンド、ピラミッズのファーストアルバム。


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2018年12月04日

Rocket Man: A Tribute to Elton John/Mammy Blue - Hugo Montenegro (Vocalion)



これは何となく購入してしまったCD。ウーゴ・モンテネグロが初期のシンセサイザーやムーグを駆使して制作したイージーリスニング・アルバム2枚のカップリング。まず『Rocket Man(75年作)』はタイトルの通り当時人気絶頂期にあったエルトン・ジョン作品集で、有名曲無名曲取り混ぜたセレクション。もう一枚の『Mammy Blue(71年作)』は当時のヒット曲を集めたもの。どちらもシンセやムーグの不安定なサウンドがリスナーの不安感を煽り、当時一体どんな人がこの手の音楽を好んで聴いたのか想像がつかない(笑)仕上がり。ここら辺をコレクトしているのは、かなりもの好きな人に限られるだろう。。


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A Girl and Her Guitar - Mary Osborne (Oldays)



こちらはほとんどジャケ買いで購入を決めたもの。1950〜60年代には非常に珍しかった女性ジャズ・ギタリスト、メアリー・オズボーンが1960年にリリースした唯一のリーダー作。ジャズにあまり詳しくない僕には女性が弾いていること以上の本作の特徴を見つけることはできないが、クールなサウンドと、それ以上にクールなジャケ写だけでも、レコードコレクションに加える価値のある一枚。


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Vibes Galore - Louie Ramírez and His Conjunto Chango (Oldays)

Vibes Galore - Louie Ramírez and His Conjunto Chango

ラテン系のヴィブラフォン奏者、ルイ・ラミレスが1965年にリリースしたラテン・ソウル・ジャズアルバム。クラブ・ユースにも堪えそうな、クールなヴァイブ・サウンドが楽しめる。


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2018年12月01日

Make The Music Play: Neil Sedaka's Songwriting Gems 1963-1971 (Teensville)



絶好調オーストラリアのティーンズヴィル最新コンピレーションは、ニール・セダカ作品のマニアックなカバー集。そもそもソングライターとしてブリル・ビルディングの一員となったセダカは、アーティストとしてブレイク後も他者に作品を提供し続け、60年代半ばのイギリス勢台頭によりアメリカン・ポップスが劣勢となり、アーティストとして“過去の人”と見なされるようになった後もソングライター活動は堅調。フィフス・ディメンションやトム・ジョーンズなどにヒット曲を提供し、トップ・ソングライターの地位を維持した。

本コンピレーションはそんなセダカのプロフェッショナルなソングライター・スキルに焦点が当てられたものだが、彼の熱心な信奉者の一人である僕が言っておきたいのは、ここに収録されている作品のベストバージョンの多くは、実はセダカ本人の録音であるということ。ここには収録されていない、これまでほとんど顧みられることのない60年代後半の彼自身が録音した作品群を、再評価してもらえる機会になるといいと思っている。



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Gary Lewis & The Playboys Hits Again! (Oldays)



ゲイリー・ルイスとプレイボーイズのオリジナルアルバムの殆どは、これまで様々な形で海外でCD化されているが、僕が知る限りどういう訳かそこから漏れていたアルバムが、今回日本で紙ジャケ化されたのでご紹介。

こちらは彼らが1966年にリリースした通算5枚目のオリジナルアルバム(アルバムチャート最高47位)で、デビュー曲にして唯一のナンバー1ヒットである「This Diamond Ring」以降連続7曲TOP10ヒットを放っていた彼らの後期の2曲「Sure Gonna Miss Her」と「Green Grass」を収録。フォークロックの流行に色目を遣いながら、アメリカンポップスの王道を行くハッピーなサウンドが楽しめる一枚。


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Talk to Me - Sunny & The Sunliners (Oldays)



テキサス州サンアントニオのチカーノ(メキシコ系アメリカ人)ソウル・シーンの帝王、サニー・オズナ率いるサンライナーズの、1963年のR&Bヒット「Talk to Me」をフィーチャーしたファースト・アルバム。ニューオリンズR&Bの影響が強い、いなたいアーリー・ソウルが心和む。


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2018年11月28日

Columbia Groovy Songbirds (Sony Music Labels)



数年前に渋谷タワレコ内に復活し、現在も営業中の「パイドパイパーハウス」店主の長門芳郎氏選曲による米コロンビア・レコードに残された女性ボーカル作品選。当時すでに大御所のアーティストからアイドルシンガーまで、60年代半ば〜後半の作品を中心に“グルーヴィーな”録音ばかり24曲(うち10曲は世界初CD化!)。全世界の音楽の魔法を信じるリスナーに向けられた、ちょっと早めのクリスマスプレゼント。


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Look at Us/The Wondrous World of Sonny & Cher/In Case You're in Love + Bonus Tracks (BGO)



1965年に「I Got You Babe」の大ヒットで一世を風靡した夫婦デュオ、ソニー&シェールがアトコ・レコードからリリースした音源をほぼ網羅した3枚組コンピレーション。当時発表した3枚のアルバムと、数多いシングルヒットのすべてをここで聴くことができる(シェールは当時更にこれと同数以上のソロ・レコーディングを他社に残している)。ここに登場するまだ10代の可憐な少女が、50年以上たった今年(2018年)もヒットアルバムをリリースしていることに、驚きを禁じ得ない。。。


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Come and Stay with Me: The UK 45s 1964-1969 - Marianne Faithfull (Ace)



1960年代イギリスのフォークロックシーンで、ひときわ可憐な魅力を振りまいたマリアンヌ・フェイスフルが英デッカからリリースしたシングルとEP音源を集めたコンピレーション。当時の彼女の(二度と甦ることのない)儚げな魅力をたっぷりと楽しむことができる。


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2018年11月22日

True Love Ways - Buddy Holly with The Royal Philharmonic Orchestra (Decca)



イギリスのロイヤル・フィルハーモニック管弦楽団は近年ロック系アーティストとの共演にご執心の様子。“ロック系”といってもその多くは鬼籍に入ったアーティストで、エルヴィスに始まり、ビーチ・ボーイズ、カーペンターズ・・・といった塩梅(まだ生きている人もいるが)。

今回届いたのはバディ・ホリーが生前遺した歌声に同楽団がストリングスをかぶせたもので、プロデューサーとしてクレジットされているのは彼の未亡人であるマリア・エレナ・ホリー(まだご存命とはっ!)。1959年の2月に飛行機事故で亡くなる直前のホリーは、それまでのロックンローラー的イメージからより幅広い音楽性を打ち出すことを模索した時期にあったようで、ストリングスをバックに歌うバラードも多く録音しており、そういった作品にオーバーダビングを行った録音には違和感はなく、ホリーのボーカルもリマスターされたクリアな音質で聴けるのでそれなりに楽しめるのだが、「Oh Boy」や「Rave On」といったアップテンポのナンバーは、こんなものにストリングを足して何の意味があるの??といった感じ。選曲をバラード系の作品に絞り、一枚のアルバムにまとめられたら彼のジェントルな側面に焦点を当てたユニークな企画盤になったかもしれないのに・・・と、少々残念でならない。



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Glen Campbell Sings for The King (Capitol/UMe)



ポピュラー音楽界で、現在のところもっとも華々しい“終活”を成し遂げたアーティストは、恐らくグレン・キャンベルなのだと思う。彼は2011年にアルツハイマーの発症を公表するとともにフェアウェル・ツアーを大々的に開催し、病状の進行を記録するドキュメンタリー映画も制作。アルバム『Adios(あばよ!)』『See You There(あの世で逢おう)』といった“遺作”を次々と発表し、それらは高いセールスと、各方面の賞を獲得する成果を挙げ、2017年に亡くなった彼の音楽人生の最晩年を飾っている。

本作のリリースのニュースを見たとき、僕は「まだこの手があったか!」と思った。彼の一周忌を記念してのエルヴィス・トリビュート盤なんてものまで生前に用意していたのだとしたら、この周到ぶりは尊敬に値するな、と。しかし、実際はそのような内容ではなかった。1967年に「Gentle On My Mind」でブレークする以前、キャンベルがトップ・セッション・ギタリストとして多忙な活動を行っていたことは有名だが、その傍ら様々なアーティストに提供される作品のデモ・シンガーまで務めていたというのだから驚き。本CDはソングライターコンビ、ベン・ワイズマンとシド・ウェインがエルヴィス・プレスリーに作品を提供するために制作されたデモ録音集で、キャンベルがそのすべてのボーカルを担当している。

本CD収録の作品が録音された1965年〜66年のエルヴィスは、悪名高き“エルヴィス映画”を活動のメインとしていた時期で、年に何本も制作されるどれも似たり寄ったりのプログラム・ピクチャーのために大量のサントラ収録曲が必要とされており、ハリウッドのソングライターたちは挙ってこのような見本盤を量産していたのだろう。キャンベルもかなりエルヴィスを意識したボーカルで雇用主の要求に応えており(微笑ましい・・)何曲かはヒットチャート入りも果たしたこれら作品の知られざる裏側が明らかになったという点で、このCDの登場は非常に意義深いものであるといえる。



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