2018年07月07日

愛しあう2人のために:愛のレッスン - 加賀まりこ/ワーナー・グランド・オーケストラ (Solid/Ultra Vybe)



戦後わが国芸能界の【カワイイ番付】を作成するとしたら、おそらくかなり上位にランクインするであろう一人が加賀まりこ。彼女が1971年にリリースしたアルバム『愛のレッスン』は歌ものではなく、ワーナー・グランド・オーケストラによる洋楽カバーインストをバックに、愛の物語(構成・詞は安井かずみ)を語るという企画もの。BGMの選曲センスが非常によく、フレンチポップ〜ソフトロック的な文脈で楽しむことができる。

タイトルからすると『円楽のプレイボーイ講座』をはじめとする“指南もの”の一枚のように思われるが、パリの公園で長身の美青年と出逢い、やがて恋に落ち、その後ちょっとしたことで喧嘩別れするけど結局ハッピーエンドで終わる・・という少女漫画的なストーリーを情熱的に語るさまは、近年の言葉でいえば“妄想女子”の元祖的作品といってもいいのかもしれない。こじらせ系音楽ファン(笑)は一聴をお勧め。


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2018年07月04日

Reach The Top!: Rare Gems from The Tony Macaulay Songbook 1965-1974 (Teensville)



オールディーズのコンピレーション、内容面でいえばおそらく現在ナンバー1レーベルであるオーストラリアの「ティーンズビル」からの新作は、イギリスの人気ソングライター、トニー・マコウレイ作品集。日本でもソフトロックファンの間で評価が高く、イギリスにおいては枚挙にいとまがない膨大な数のヒット曲を持つ“大作曲家”であるが、意外にも彼の作品を特集したコンピレーションはこれまであまりなく、調べてみたら2001年にイギリスでリリースされたCD(持ってる・・)以来らしい。

今回の作品集はレアな録音に焦点が当てられており、知名度の高い作品もヒットバージョン以外のものを収録。その他初めて聴く楽曲も多く、ポップな作風もこの曲数だけ続くと若干食傷気味になるが(笑)ソフトロック好きには嬉しいプレゼントである。



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Together/Farewell Album (Expanded Edition) - The New Seekers (7T's)



1970年代初頭よりヒット曲を連発していたニュー・シーカーズは、73年に入ってリリースしたザ・フーのカバー「Pinball Wizard/See Me, Feel Me」メドレーをもってそれまで続いていたUKTOP20ヒット記録が一旦ストップ。メンバーの加入脱退も相次ぎ、遂にはグループの解散を宣言。このニュースは再び彼らが注目されるきっかけとなり、リリースしたトニー・マコウレイ作のシングル「You Won't Find Another Fool Like Me」は彼らにとって久々の全英ナンバー1ヒットを記録、続いて同じくマコウレイ作の「I Get A Little Sentimental Over You」も全英5位を記録と、人気が再燃する中リリースされたアルバム(本作)がなんとも皮肉なタイトルの『Together』。こちらも好セールスを記録し、前述のマコウレイ作品の他彼らが得意とするメドレー曲などを聴くことができる。

続いて大盛況のうち終了したフェアウェル・ツアーの3ヶ月後にリリースされたのが、その名も『Farewell Album』。引き続きマコウレイ作品がアルバムの約半数を占めその筋のポップスファンには楽しめる内容になっているが、もはやアーティスト主体が存在しない同作がプロモートされることはなく、売上も低調に終わった。CDのボーナスにはアルバム未収録のシングルやグループメンバー名義の録音も収録、人気グループの終焉期の活動が記録されている。なお彼らはこの2年後の76年には再結集してアルバム『Together Again』をリリース(笑)。再び活動を続けている。


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The Musical Adventures of The Clevedonaires, Cleves & Bitch (Frenzy Music)



こちらはニュージーランド出身のグループ。1960年代初頭に学生バンドとして結成されたクリーヴドネアズは1967年にサイケ/ガレージバンドとしてレコードデビュー。その数年後に活動拠点をオーストラリアに移すと名前を“クリーヴス”に改め、今度はプログレ調のアルバムをリリース。さらに70年代に入ると今度はヨーロッパに渡り、ハードロックバンド“ビッチ”として活動(笑)。

このCDは約10年間にわたる彼らの生生流転を記録している。とはいえいずれの時期もそれなりの内容の作品を残しているところがエラく、中でもクリーヴドネアズのデビューシングル「He's Ready」はどこに出しても恥ずかしくないガール・ガレージクラシックだし、70年代の“ビッチ”もブリティッシュ系のハードロックで意外と悪くない。ニュージーランドシーン、ますます気になる。。。


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2018年07月01日

Too Slow to Disco Brasil compiled by Ed Motta (How Do You Are? Recordings)



ここ2〜3年で再発CDマーケットの世界的なトレンドとなりつつある“AORディスコ”シーンをけん引する「Too Slow to Disco」シリーズ最新盤のテーマは“ブラジル”。元々AORやディスコミュージックとブラジル音楽の親和性は非常に高い、というかAORの構成要素の何割かはブラジル音楽からの頂きものだろっ!といっても過言ではないので、この分野を掘り始めたらいい音楽が無尽蔵に出てきそうで怖い・・。このCD1枚聴いただけでは“AOR=ブラジリアン=ディスコ”の定義ははっきりとわからないが、今後派生的に出るであろうCDや、本CDに触発されて出てくるコンピレーション(この分野は日本人の方が詳しいかも・・)の登場を待ちながら、勉強に備えたい。


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Hong Kong Disco (Wang Chai)



こちらは1970年代の香港で録音されたディスコミュージック集。洋楽のカバーを中心に選曲されているが、基本的に英語圏なのでそれほど違和感なく聴くことができる。逆にいえばローカルディスコものに期待しがちな“エグ味”に欠ける印象も強く、これは選曲次第でなんとでもなるので、今後シリーズ化してより濃〜い続編が登場することを期待したい。



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2018年06月28日

Gene Clark Sings for You (Omnivore Recordings)



ザ・バーズのオリジナルメンバーであるジーン・クラークは、1966年にグループを脱退し初ソロアルバム『Gene Clark with The Gosdin Brothers』を発表。その後68年にはダグ・ディラードと組んで『Fantastic Expedition of Dillard & Clark』をリリースすることになるが、今回この二作の空白期間に録音された未発表作品を集めたコンピレーションがリリースされた。

本CDの前半はザ・バーズ、そしてファーストアルバム発表時に在籍していたコロンビア・レコードから契約を解除され、新しい契約先を見つけるためにデモンストレーションとしてプレスしたアセテート盤『Gene Clark Sings for You』に収録されていた作品群(全8曲)。このアセテートは80年代にレコード会社の倉庫から発見され、収録曲の何曲かは既に何らかの形で音盤化されているようだが、このようにまとまった形でCD化されるのは今回が初めて。非常にシンプルな編成による録音だが彼独特のメロウな作風がよく現れた作品が幾つも収録されている。

続いて後半の6曲はカリフォルニアのティーン・バンド、ザ・ローズ・ガーデンのために録音されたデモ集(全6曲)。彼らについては別掲の記事で触れているのでそちらをご参照いただくとして、ライブハウスで偶然見かけたザ・バーズのカバー演奏をいたく気に入ったクラークは彼らのメジャーデビューにあたって作品の提供を申し出、送り付けたのがこれらの録音。これまでバンドの関係者以外耳にしたことがなかったという貴重な音源が世に出たのは、ジーン・クラークファン及びフォークロック〜カントリーロックファンには嬉しい贈り物である。



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A Trip Through The Garden - The Rose Garden (Omnivore Recordings)



1968年のTOP20ヒット「Next Plane to London」で知られるフォークロックグループ、ザ・ローズ・ガーデン。彼らは当初67年に「February Sunshine」をマイナーヒットさせた“ジャイアント・サンフラワー”としてデビューを果たした(もっとも、彼らはそのレコードで演奏はしていないそうだが)後に改名し、アトコ・レコードと契約。ファーストシングルがヒットを記録したことから制作されたのが本作。過去にCD化されており僕もそれを持っているが、今回はその背後にある、とあるストーリーがきっかけで拡張版がリリースされることとなった。

そのストーリーとは、元バーズのジーン・クラークとの交流。本作は以前からジーン・クラークの書下ろし曲が2曲(「Till Today」と「Long Time」)収録されていることで知られていたが、関係者へのリサーチによりその提供曲の作者によるデモ録音が見つかったこと(別掲の『Gene Clark Sings for You』をご参照)から彼らとクラークの関係性にスポットを当て、詳細なライナーノーツと初出音源満載のボーナストラックを追加して本CDは完成している。中でも意義ある収録と思えるのが、彼らがバーズのレパートリーをカバー演奏しているライブ音源(会場が地元の高校というのも味わい深い)で、かつてクラークと出演していたライブハウスで出会った際に「俺らより上手いじゃん。」と言われたというエピソードが“ウソではない”ことを証明する演奏を聴くことができる。クラークのCDと合わせて聴き、ライナーノーツを読むと、これまで殆どの音楽ファンが気に留めることもなかった(笑)ザ・ローズ・ガーデンが、非常に気になる存在に感じられることは間違いないだろう。



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Barry McGuire & The Doctor (Ode/Real Gone Music)



一般的には1965年のナンバー1ヒット「Eve of Distruction」の一発屋と見なされている(マニアの世界でもその評価はあまり変わらないが・・)バリー・マクガイア。彼はその後も細々とアルバムのリリースを続けていたが、このアルバムはママス&パパスのバックバンドのリードギタリストだった“ザ・ドクター”エリック・ホードとのデュオ名義で発表した71年作。

「Eve 〜」をプロデュースしたルー・アドラーが設立したレーベル、オードからリリースされた本作にはアメリカ西海岸のカントリーロックシーンからバーズのマイク・クラークとクリス・ヒルマン、イーグルスのバーニー・リードン、フライング・バリット・ブラザーズのスニーキー・ピートといった古くからの仲間たちが参加、ブルースロック調の長尺曲ばかり全6曲が収録されている。参加メンバー全員がドラッグで酩酊状態の中レコーディングが行われたというこの作品だが、よくいえばボブ・ディランとトム・ウェイツの雰囲気を併せ持ったようなマクガイアの渋いボーカルは、意外と悪くない。



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2018年06月25日

Bob Stanley & Pete Wiggs present Paris in The Spring (Ace)



セント・エティエンヌのボブ・スタンレーとピート・ウィグスが時折エース・レコードからリリースする“気まぐれコンピ”最新版のテーマは「パリの春」。とはいってもスタンダードナンバー「I Love Paris」のような能天気な雰囲気ではなく、1960年代後半〜70年代初頭にかけて盛り上がった社会運動の影響や、国内外で起こった惨劇への抗議を表明した音楽ばかりを集めたもの。収録曲はどれも重く、怒りに満ちた雰囲気に溢れ、数年前までアイドル然としたフレンチポップを歌っていたアーティストも、変わらざるを得なかった(時代の雰囲気に流された部分も多分にあるだろうが・・)この時期の空気を色濃く反映している。


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Jazz Movie Sound Tracks: Music from The Films (Documents/The Intense Media)



昭和30年代の我が国の洋楽チャートには、映画音楽がかなりの割合で登場している。中でも欧米(特にフランス)で盛んに制作された映画のためのジャズ=シネジャズ(当時こういう言葉があったかは分からないが)はかなりの人気を博したようで、当時の記録を調べるとサントラ盤がヒットパレードに数多くランクインしている。『Jazz Movie Sound Tracks』は1950年代〜60年代前半にジャズミュージシャンが制作した映画のサウンドトラックを集めたCD10枚組で、日本でも人気の高い作品がいくつも収録されている。ジャズサウンドトラックの集大成的資料価値と同時に、当時からの音楽ファンにとっては、あの時代のサウンドトラックとして懐かしい思い出に浸れる一箱のはず。



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2018年06月22日

Go Away Little Boy: The Columbia Anthology - Marlena Shaw (SoulMusic)



ジャズ寄りのフィールドからR&Bやディスコミュージックへアプローチした女性シンガーの第一人者、マリーナ・ショウが70年代後半にコロンビアからリリースした3枚のアルバムから選曲されたコンピレーション。メロウグルーヴ〜クラブジャズの名盤とされる1976年の『Sweet Beginnings』収録曲の出来が何よりいいが、その他のアルバムでも時流のサウンドに挑戦した彼女のボーカルを楽しむことができる。



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It's Just The Way I Feel - Gene Dunlap (featuring The Ridgeways) (Capitol/USM Japan)



こちらも1,000円ディスコシリーズの1枚。70〜80年代のジャズ/フュージョン界で名をなしたドラマー、ジーン・ダンラップの初リーダー作(81年発表)で、アルバム全編のボーカルを姉妹グループ、ザ・リッジウェイズが担当。ディスコという意味ではR&Bチャートにも登場した「Rock Radio」ということになるが、このアルバムの聴きどころはもう一曲のヒット「Before You Break My Heart」やアルバムタイトル曲のようなメロウ・グルーヴ系のナンバーで、その点に限定すれば“歴史的名盤”といってもいいかも知れない。時おりちょっと気の利いたメロウなナンバーの選曲が求められる機会がある方は(なかなかいないよっ!)持ちネタとして重宝するはず。



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Love On Delivery - The Reflections (Capitol/USM Japan)



ニューヨーク出身のR&Bボーカルグループが1975年にリリースしたファーストアルバム。彼らの経歴は詳しくわかっていないようだが、R&Bチャートに残された4曲のヒット(すべてこのアルバムに収録されている)を聴くと、かなりの実力派であったことがわかる。プロデュースは初期のピーチズ&ハーブの諸作やダニー・ハザウェイ、エース・スペクトラムといったアーティストに作品を提供しているソングライター、ケン・ウィリアムスを中心としたプロデューサー・チーム、ア・ディッシュ・ア・チューンズが担当しており、フィリー・ソウルの強い影響下にあるサウンドを聴くことができる。


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2018年06月19日

The Brooklyn, Bronx & Queens Band - B.B. & Q. Band (Capitol/USM Japan)



“1,000円ディスコ”シリーズの6月発売分が我が家にも届いた。こちらはこじつけのようなバンド名のとおり、ニューヨーク・エリアで結成されたダンスバンドが1981年に発表したファーストアルバム。シックを思わせる軽快なギター・カッティングが印象的な「On The Beat」は、ポップチャートに登場するようなヒットではなかったにもかかわらず当時中学生だった(しかもまだあまり洋楽に興味がなかった)僕でも頻繁に耳にした記憶があるので、それだけ当時日本のディスコで大変な人気を博したということなのだろう。80年代初頭の典型的なディスコミュージックのサンプル的作品。



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Now Appearing... LA. Connection (Mercury/USM Japan)



LAコネクションの1982年唯一作。その名前から西海岸のスタジオグループだと思い込んでたが、彼らはロサンゼルスではなくルイジアナ出身の「LA 」なのだとか。ファンクバンド、キャメオ周辺のミュージシャンが集結したユニットで、グループ名には彼らの総帥(かつ本作のプロデューサー)であるラリー(LArry)ブラックモンの名前もかけられているらしい。キャメオはちょうどこの頃レコード会社を移籍しており、そういった契約の隙間をついてのリリースだったのかもしれない。音楽的中身ははまさにキャメオのそれなので、ファンであれば派生アルバムとしてコレクションに加えておいて損のないアルバム。



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Westbound Disco (Westbound/Ace)



デトロイトのウェストバウンド・レコードというとファンカデリックなどのファンクの印象が強いが、時代の流れには抗えず、70年代後半にはディスコ向けのレコードも多く制作されていた。このCDには当時リリースされた12インチバージョンやトム・モールトンによるリミックスなどが収められており、このうちの多くがR&Bやダンスチャートにランクインを果たしている。ディスコとはいえそこはウェストバウンドだけあって一癖も二癖もあるファンキーなダンスミュージックが楽しめる。



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2018年06月16日

Eric Clapton: Life in 12 Bars (UMC)



エリック・クラプトンの半生を追った新作ドキュメンタリー「Life in 12 Bars」のサントラ。彼がキャリアをスタートさせるにあたって影響を受けたアーティストの作品に始まり、ヤードバーズへの加入以降様々なバンドを渡り歩き、ドラッグにまつわる様々なトラブルを巻き起こし/巻き込まれながら70年代にソロアーティストとしての名声を確立する・・というもはやロック史の教科書の鉄板ネタといえる「エリック・クラプトンストーリー」をたどるには、これまでリリースされた中で一番のコンピレーションだと思う。クラプトンがセッション参加したビートルズ系音源の収録という、彼らの権利が数年前にユニヴァーサルに移ったため可能になった幸運の賜物もあるし・・。

それにしてもクラプトンを語るにはキャリア最初の10年があまりにも濃すぎる(他のミュージシャンの人生の何回分か(笑))ので、サントラ収録曲はほとんどが1974年までに発表された作品で占められ、最後の締めくくりに「Tears in Heaven」という、ここ数十年変わることのない流れなのが気になるところ(ドキュメンタリーを実際観た訳ではないので実は新しい視点が提示されているのかもしれないが・・)。ベテランロックファンにとっては耳タコもののナンバーが並ぶ本作(ただしこれまでとのミックス違い、ライブバージョンは多数収録)を今回僕が入手したのは、これまで彼の音楽をベスト盤やボックスセットを聴くことだけで済ませていたところ、実は「I Shot The Sheriff」のちゃんとしたバージョンを持っていないことに気がついたから(笑)。そんな訳で購入して聴いてみた「〜 Sheriff」は、なんとこれまで未発表だった約7分のフルバージョン。。。本作の目玉であることは間違いないが、シングルバージョンを求めて僕はもう一枚コンピレーションを買い求めないといけないのか?と現在思案中である。


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Beside Bowie: The Mick Ronson Story (UMe)



こちらはデヴィッド・ボウイのバックバンド“スパイダーズ・フロム・マース”のギタリストだったミック・ロンソンのドキュメンタリーのサントラ。ボウイのグラム・サウンドに多大な貢献を果たしたロンソンのキャリアは、ボウイと袂を分かった後も常に彼の影響下にあったようにサントラ収録を聴く限り感じられる。「ローリング・サンダー・レビュー」に参加した(ドキュメンタリーにはその映像も登場する模様)ボブ・ディランとの録音がここに収録されていれば随分印象が違ったと思うが、それが叶わなかったのは残念。

晩年(1993年没)の彼のキャリアのハイライトとしてドキュメンタリーに登場するのは、死の前年にロンドンのウェンブリー・スタジアムで開催されたフレディ・マーキュリーの追悼コンサートにボウイと長年の盟友イアン・ハンターとともに「すべての若き野郎ども」と「ヒーローズ」を披露したシーン(圧巻!!)。まさに「Beside Bowie」なこの作品で一体どのようなエピソードが語られているのか、映画が日本に入ってきたらチェックしてみたい。



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Thrillington (Capitol/MPL)



近年ポール・マッカートニーの最高傑作との呼び声が高まっている1971年のアルバム『RAM』。巷の評判はさておき(いやいや傑作ですが)当時ポール先生の同作の出来栄えへの自信/思い入れは尋常でないレベルだったようで、アルバム全編をノスタルジックなオーケストラ・アレンジでカバーするという匿名の自作自演アルバムのリリースまでが企画された。

1939年(ポールの3歳年上)にロンドンのコヴェントリー大聖堂で生まれアメリカで音楽を学んだバンドリーダー、パーシー“スリルズ”スリリントンというキャラクターは、かつて“ペッパー軍曹”を生み出した彼にはいつもの創作過程の産物といったものなのだろう。アルバム発表直後に録音されながらウィングスの活動との兼ね合いか77年までリリースが見合されたことでアルバム制作の意味が曖昧になってしまったが、宅録派で超オタクな一面を持つポール先生が自信作のリリースに際して、ロック以外のリスナー層にどのような複合マーケティングでアピールするかを夢想していたか・・なんてことを考えると、このアルバムをより面白楽しく聴くことができるのではないかと思う。


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2018年06月13日

Psychedelic Moods: A Mind Expanding Phenomena - The Deep (Oldays)



1966年にリリースされたザ・ディープのアルバム『Psychedelic Moods』は、音楽史上初めて“サイケデリック”のタイトルが冠されたロックアルバムなのだとか。リリース当時ほとんど話題にならなかったという本作は、1980年代以降のサイケデリック〜ガレージ・パンクの再評価ムーブメントの中で発見されめでたく“第1号サイケ”の称号を得ることとなったが、グループの実態はグリニッチ・ヴィレッジを拠点に活動していたフォークシンガー、ラスティ・エヴァンスと、コニー・フランシスの「I'm Gonna Be Warm This Winter(想い出の冬休み)」やマンフレッド・マンの「Pretty Flamingo」などのヒットで知られるソングライター、マーク・バーカンの2人が中心となったスタジオ・プロジェクト。実は“産業サイケ第1号”でもあったという。。。

粗いギターサウンドのロックナンバーと、ダウナーなフォーク調のナンバーが混在し、そこに全編にわたって奇妙なSE(彼らには無断でレコード会社によって追加された)が被せられたその世界は、当時グリニッチ・ヴィレッジで流通し始めていたLSDによる体験の、レコーディングスタジオでの再現を試みたもの。ロックアルバムとしてのクオリティは正直いって決して高いものとは思わないが、それでいて実はこの直後から60年代末まで音楽市場に氾濫する“サイケデリック・ロック(特にレコード会社がでっち上げた産業サイケ)”のイメージをほぼすべて内包している恐るべきアルバムでもある。遅ればせながらCDコレクションに加えることができた本作で、その後のシーンがよく見通せるようになった気がする。



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Love Is The Revolution - Arthur Lee Harper (Big Pink Music)



1968年にリー・ヘイゼルウッドのLHIからリリースした『Dreams & Images』がソフトロックの名盤として名高い“アーサー”ことアーサー・リー・ハーパーが翌69年に発表したセカンド。ヘイゼルウッドの下を離れたためサウンドプロダクションは非常にシンプルになったが、メッセージはよりパーソナルになり、イッツ・ア・ビューティフル・デイあたりを思わせる自己主張の強いジプシー・バイオリンの音色も相まってアシッド感は更に強い仕上がりに。マイナーフォーク好きであればしっくりくる内容。



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Fire & Rain (Big Pink Music)



アリゾナ州ツーソンから登場した夫婦デュオの73年作で、プロデュースはベンチャーズの諸作で知られるジョー・セラシノ。HOT100にぎりぎりランクインしたバーバラ・ルイス「Hello Stranger」のカバーはプレAOR的なグルーヴ感がなかなかの聴きものだが、他の収録曲の1973年とは思えないカバー選曲のセンスやサウンド感 〜情報から遮断されたツーソンに暮らしていたら、ヒッピーの時代がとっくに終わっていたことに気づかなかったような(笑)〜 がじわじわくる。1967〜68年頃のアルバムと比べて聴くとしっくりくる感じ。


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2018年06月10日

That Bo Diddley Beat featuring An Array of Songs That Use The Unique Rhythm Made Famous by Bo Diddley (Not Now Music)



1955年にボ・ディドリーがリリースしたその名も「Bo Diddley」は、特徴的なリズムと彼が演奏する四角いギターから生まれるこれまた特徴的なサウンド(一体どんなエフェクターが仕込まれているのかわからない・・)が後のロックサウンドに大きな影響を与え、彼が発明したビート(別名“ジャングルビート”)はその後数十年にわたって英米のヒットチャートに登場を続けている。

“ジャングルビート”のリズムは「Hambone」という童歌(このCDではカール・パーキンスの演奏で聴くことができる)がベースとなっており、アメリカでは非常に馴染みのあるものなのだとか。50年代半ばから60年代前半にかけて録音された“ジャングルビート”作品ばかり40曲も集めた本CDは、このリズムとギターサウンドが如何に致しまれ、広い影響力を持ったかを伝える非常にユニークなコンピレーションになっている。なおボ・ディドリーの名誉のために書いておくと、彼は決して“ジャングルビート バカ一代”な人ではなく、この曲の直後にはヤードバーズなどでお馴染みの「I'm A Man」をヒットさせているし、その後も「Roadrunner」「Who Do You Love」といった後のガレージロックのルーツ的作品を次々と生み出した“クラシックロックの偉人”でもある。



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Love Is Strange: All The Hit Singles A's & B's 1950-1962 - Mickey & Sylvia (Jasmine)



1956年のR&Rクラシック「Love Is Strange」で、まるで夫婦漫才のような掛け合いを聴かせている(実際は夫婦ではなかったようだが)ミッキー&シルヴィアは、方やR&B史にその名を遺す名ギタリストのミッキー・ベイカー、もう一方は70年代にソロシンガーとして「Pillow Talk」の大ヒットを放ち、レーベル・オーナーとしてもモーメンツやシュガーヒル・ギャングを世に送り出した“女傑”シルヴィア・ロビンソンという非常に興味深い二人によるデュオ。

この二枚組CDは二人が50年代半ば〜60年代前半にかけて様々なレーベルからリリースしたシングル音源を網羅した内容で、勿論チャートインを果たした曲はすべて収録(参考までにビルボード誌だけでなくキャッシュボックスとミュージック・ヴェンダー誌のチャート成績もつけてみた)。加えてシルヴィアがデュオ結成前に“リトル・シルヴィア”名義で録音した楽曲(52年〜53年)も冒頭十数曲収録されており、後の“お色気シンガー”駆け出し期の初々しいボーカルを楽しむことができる。


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Do The Popcorn: Original Hits and Rarities from The Belgium Popcorn Acene (Jasmine)



イギリスにおける“ノーザン・ソウル”同様、60年代後半のベルギーでは“ポップコーン”と称されるR&Bムーブメントがあったのだという。ここ数年その“ポップコーン”をテーマにしたコンピレーションが英語圏のレーベルからもリリースされるようになっており、過去の記事を確認したところこのブログで紹介するのもこの4年の間でこれが8枚目になる模様(笑)。

ポップコーンのコンピレーションには主に50年代後半〜60年代前半のいわゆる“アーリー・ソウル”系作品が収録されており、このCDも例外ではないが、中には白人のアイドルシンガーや、ジャマイカ産の初期R&B録音なども曲目リストに見つけることができる。他の地域でいえば南北カロライナ州で好まれている“ビーチ・ミュージック”にも通じる、いい意味で非常に温いダンスビート。これまであまり注目されなかったタイプのダンスミュージック・コンピとして楽しむことができる。


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2018年06月07日

Outlaws & Armadillos: Country's Roaring '70s (Country Music Hall of Fame and Museum/Lagacy)



ナッシュビルにあるカントリーミュージックの殿堂博物館は、エルヴィスの有名な金色のキャデラックや、往年の大物アーティストのド派手なステージ衣装などがゴテゴテと飾られている・・・というのが20数年前にそこを訪れた時の僕の印象だが、近年はカントリーミュージックの歴史や音楽遺産(レガシー!)を現世に知らしめる啓蒙活動のための企画展示を熱心に開催しているようで、数年前には60年代後半のボブ・ディランとジョニー・キャッシュの交流をきっかけにナッシュビルのミュージシャンの存在がジャンルを超えて注目を集めたことを紹介する特集が組まれ、それに連動した『Dylan, Cash and The Nashville Cats』なんてコンピレーションもリリースされている。

今回同博物館が企画したのは「アウトロー・カントリー特集」。ナッシュビル産のカントリーミュージックが市場を独占していた60年代から、テキサスやカリフォルニアから起こった新しいムーブメントが徐々に影響力を増していく70年代への移り変わりを紹介したもので、それに合わせて企画された本CDにはムーブメントの象徴的存在であるウェイロン・ジェニングスとウィリー・ネルソンの作品の他、フォークやロックの世界から参入した門外漢や、ナッシュビルからドロップアウトし新天地で革新的な作品を発表したアーティストなど、様々に個性的な作品が数多く収められている。思ったよりヒット曲の収録が少なくマニアックな内容になっているのでこれ一つでムーブメントの概要がわかる訳ではないと思うが、今後この選曲意図を探求していけば70年代、さらには80年代のカントリー界の変遷を把握することが出るのでは、と思っている。



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The Complete Capitol Singles 1967-1970 - Buck Owens and The Buckaroos (Omnivore Recordings)



バック・オウェンスがキャピトル・レコードからリリースしたシングル音源を集めたコンピレーションの1967年〜70年編が届いた。この時期の彼は出すシングルいずれもがカントリーチャートのナンバー1にほぼ届く状態なので、怖いもの知らず。チャック・ベリーの「Johnny B. Goode」をカントリーの1位にする人なんて、他にそうはいないでしょう。

なお彼が同社から1959年から66年にリリースしたシングルと、76年以降にワーナーからリリースしたシングル音源は既にCD化されているので、後は71年〜75年の音源を残すのみ。Omnivoreさん、よろしくお願いします!!

 


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The Complete '60s Capitol Singles - Merle Haggard (Omnivore Recordings)



先日紹介したNRBQのボックスセットと一緒にレーベルのセールで入手したCD。マール・ハガードはバック・オウェンスと並ぶアメリカ西海岸発の“ベーカーズフィールド・サウンド”の立役者で、ナッシュビル以外の土地からでもカントリーの新しいムーブメントを起こすことができることを証明してみせた最重要人物の一人であるが、彼のようにヒット曲の多い大物の音楽を聴くには一体何処から手をつければいいのか・・?という問題が常につきまとう。そんな時にひとまず縋りたいのが当時リリースされたシングル音源をすべて集めたこれのようなコンピレーション。

マール・ハガードが本格的なブレークを果たしたのは1966年の「The Fugitive」がカントリーチャートのナンバー1を記録したことがきっかけ。以降怒涛の連続ナンバー1を記録していくことになるのだが、本CDには1965年から69年までにキャピトル・レコードからリリースされたシングル音源が収められている。どの歌も登場人物は犯罪者(笑)な“アウトロー・カントリー”の礎であるとともに、ザ・バーズがカントリーロック路線を打ち出した『Sweetheart of Rodeo』にもハガード作品が取り上げられているという、その道の先駆者的存在でもある彼の代表曲をざぁっとさらうには最適なコンピレーション。なおこのCDがリリースされたのは2013年のこと。彼がキャピトル・レコードからリリースしたヒットシングルは更にCD数枚分あるので、そろそろ続編の登場を期待してもいい頃のような・・・。


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Suite Steel: The Pedal Steel Guitar Album (Wounded Bird)



カントリー界のスチールギターの名手、バディ・エモンズ、ジェイ・ディー・マネス、レッド・ローズ、スニーキー・ピートとラスティ・ヤングの5人が一堂に会し、当時のロックヒットを演奏したインスト・アルバム(1970年リリース)。カントリーロックの隠れた名盤といっていい内容だと思うが、意外にも今回が初のCD化だという。

個人的な話で恐縮だが、本作は僕が小さい頃、カントリー好きだった父がスチールギターの練習のため家で何度も繰り返して聴いていたアルバムであることに購入してから気がついた。「Wichita Lineman」も「Something」も僕はこのアルバムで初めて知ったので、グレン・キャンベルやビートルズ版を聴いたときに「あ、あの曲だっ!」と思ったことを今も覚えている。40数年ぶりに、思いがけないアルバムと再会してしまった。。。



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