![A Thematic Fairytale [California '99]](http://tra-la.up.seesaa.net/image/California99.jpg)
実はこのアルバム、正確には今回が世界初CD化ではない。などと書くと話がややこしくなるかもしれないが、一昨年イギリスでスチュ・フィリップスのサントラ録音を集めた「Surf... Sex and Cycle-Psycos...」というコンピレーションが発売されており、そこにはこのアルバムのディノ〜たちによるボーカル録音以外のすべてが収録されている。映画のストーリーはサーファーが世界中のサーフスポットを巡って波に乗る・・というもののようで、フィリップスはその国々(ポルトガル、モロッコ、セイロン、インド、香港、ハワイ)のイメージに沿ったインストナンバーを提供。さすがはベテランらしい、手堅い曲の数々。
しかし、このCDを入手する音楽ファンの真の目的は、前述のCDからは漏れたディノ、デシ&ビリーの録音の方なのだろう。オールディーズファンだったら誰でも知ってる2世グループの彼らは、65年に何曲かのTOP40ヒットを飛ばした後は活動は尻つぼみ、この頃になるとレコード会社も彼らのシングル盤をなかなか出してくれない状態になっており、そんな“低迷期(結局彼らはこの翌年にブライアン・ウィルソン作曲の「Lady Love」をリリースした後解散してしまう)”の貴重な録音がCDで聴けるようになったのは嬉しい。彼らが参加した録音では何れもソフトなボーカルが楽しめ、ソフト・ロックファンであれば十分満足出来る内容だろう。
ディノ〜のボーカル曲、そしてこの美しいジャケ写を手許に置けるという点だけでも、このCDは入手する価値があるだろう。続くウォルター・ライムは昨年韓国でボーカルアルバム「Endless Possibilities」がCD化され話題となったギタリスト/アレンジャーで、「The Electrifying Guitar of 〜」はそのタイトルの通り彼のギターが存分に楽しめるインスト・アルバム(65年発表)。内容はといえば、これが妙にノスタルジックなサウンド。クールジャズ風な編成ではあるのだが、ライムのギターの音色が何故かスティール・ギターっぽくて(別段スライドを多用している訳ではないのだが)、ハワイアン系のリゾートミュージックが連想されて仕方がない。あくまでもこれは個人的な印象だけれども。非常にリラックスした雰囲気のムード音楽、ただし一番評価すべきは、ジャケットデザインなんだろうな、これも。
これも「ジャケガイノススメ」の一環で出ているので、当然オリジナルの紙ジャケがミニチュアサイズで復刻されているのだが、これがなんとアメリカ地図のポスターが折り畳まれているだけで、CDはそれに挟み込まれる形で入っている。ポスターは大体B4版の大きさなのだが、オリジナルのアナログでは一体どれほどの大きさだったのだろうか??ポスターには1999年に至るまでのアメリカの社会状勢(勿論架空)なども書かれているが、音楽そのものはそれほど近未来的なものではなく、当時既に存在した楽曲を寄せ集め、ゲストボーカルにより披露されている。


お次はダスティ姐さん。彼女のCDの方は「スプリングフィールズ」の一員として出演した1962年から、円熟期を迎えた1970年までの全22曲を収録。スタジオミュージシャンの演奏ははっきりいってややショボめだが、彼女の歌声はこれが生だったら大変なもの。「Top Gear」や「Saturday Club」といった番組に彼女はかなり頻繁に登場していたようで、彼女自身のヒット曲よりも、その時々のヒット曲のカバーを数多く聴くことができ、この点もマニアには嬉しいところ。
最後3枚めは昨今再評価が過熱気味なジュディ・シルで、こんな音源までCD化されてしまった。72〜73年にかけて行われた3回のライブレコーディングからの18曲を集めたもので、レパートリーが少ない(何しろ彼女は生前2枚しかアルバムを発表しなかったのだ)のと、決してカバーは歌わない人だったようで、各回毎にかなり曲のダブり(「The Kiss」と「Down Where The Valley Are Low」は3ステージいずれでも歌っている)があり、絶対曲数としてはやや少なめ。だからといってそれがこのCDの価値を下げる訳ではないが。

ポーマス&シューマンといえばエルヴィスに数多くの作品を提供したことでも知られており、このCDでは彼の歌は67年の「Double Trouble」しか聴くことは出来ないが、替わりにデル・シャノンの「(Marie's The Name) His Latest Flame」、ラヴァーン・ベイカーが歌った「Little Sister」のアンサー・ソング「Hey Memphis」、テリー・スタッフォードの「Suspicion」などで雰囲気を味わうことが出来る。エルヴィスのそっくりさん、ラル・ドナーの「So Close to Heaven」のあまりのクリソツさには大笑い。
もう1枚はある意味R&Rの生みの親、ジェリー・リーバーとマイク・ストーラーの作品集第3弾。このシリーズはこのブログでも発売される度に紹介しているが、今回は60年代半ばから後半にかけての作品が集められている。彼らは63年に一時代を築いたアトランティック・レコードと契約を解消して独立、翌64年にはレッドバード/ブルーキャットというレーベルで成功を収めるのだが、その時期に生まれた作品を、比較的知られていないものを中心に集めた感じ。
勿論ヒット曲も結構収録されてはいて、ディオンの「Drip Drop」、ジェイとアメリカンズの「Only in America」、そして僕は初めて知ったのだがジョニー・キャッシュとジューン・カーターが歌った「Jackson」も彼らの作品だったとは。彼らの作品のテーマは一貫して「R&Bサウンドとラテン・リズムの融合」にあったようで、どの曲でもユニークな試みの痕跡が認められる。60年代後半になるとその作風はかなりジャズ寄りなものとなり、カーメン・マクレーの「Flying」、ペギー・リーの大ヒット「Is That All There Is?」などはかなりの聴きごたえ。
特にこれまで何となく聴く機会を逃していた「Is That All There Is?」は、語り半分、歌半分の感動的な作品で、これまで知らなかったのを後悔したくらい。彼女が歌ったリーバー&ストーラー作品を集めた「Peggy Lee Sings Leiber & Stoller」というCDも出ているので、近々入手して聴いてみることにしたい。リーバー&ストーラー作品集はこの第3弾が最後で、彼らが残した作品の、かなりマニアックな部分までまとめて聴けるようになったことには感謝。ポーマス&シューマン編と併せて、学究派オールディーズファンは是非とも持っておきたいコンピレーションである。

続いてはイーグルスのグレン・フライが80年代に放ったソロヒット集。残念ながらアサイラム時代の音源は収録されていないが、それはアルバム1枚買えばカバー出来るので問題なし。MCA時代のHOT100ヒット7曲中6曲が聴けるので、ベスト盤としてとりあえず合格といっていいだろう。ウェストコーストサウンドとか、そういったこととは関係なく「MTV世代」としては「Heat Is On」とか「You Belong to The City」といった曲に無条件に反応してしまう。他にも非常に渋い「Smuggler's Blues」とか、イージーな感覚が心地よい「Sexy Girl」とか。純粋にノスタルジーに浸れる1枚。これで1,000円は、やっぱり安いな。


ベンチャーズやシャンテイズ、サファリーズといったお馴染みのヒット曲に加え、ギャンブラーズの「Moon Dawg」、ベルエアーズの「Mr. Moto」、ライヴリー・ワンズの「Surf Rider」など、ヒットこそ記録しなかったもののサーフロックの古典と見なされている曲も外さないし、通常はサーフィンとは切り離して語られることが多いジョニーとハリケーンズの「Crossfire」、リンク・レイの「Jack The Ripper」などを違和感なく滑り込ませるセンスも凄い。
最後はもう一つ夏ものを。ここ何年かレコード会社各社がクラシックをはじめ色んなジャンルの音楽を100曲集め、それを3,000円くらいの廉価でリリースする「ベスト100」ものが流行しているようだが、これはそれのハワイアン編。BMGの音源を駆使した5枚組だが、この選曲が凄い。
で、これら4枚のCDもいいのだが、僕が目当てだったのは5枚目の「ポピュラー・スタイル 〜 ハワイ、太陽、渚」。ポップスでハワイといえばなんといってもエルヴィスの「ブルー・ハワイ」でしょう!とRCAのカタログから選曲してみたけど、ハワイじゃ足りないから可能な限り拡大解釈してみました・・という感じの、ある意味いい加減な選曲が面白い。アンソニー・パーキンスの「月影の渚」はエルヴィスも「ブルー・ハワイ」で歌ってるから許すとして、その何曲か後にハリー・ベラフォンテの「日の当たる島」が出て来てしまうのは凄い。もう海が変わっちゃってるじゃん!その他突っ込みどころ満載の選曲は各々楽しんでいただくとして、僕が嬉しかったのは65年に日本だけで流行ったゴーゴーズの「チキン・オブ・ザ・シー」の収録。ジャニーズが歌ったことでも知られるこの曲がCD化されたのは恐らくこれが初めてで、このボックスの「いい加減な」選曲ポリシーに感謝するばかりである・・。他にもオリジナル録音ではないようだが、やはり日本だけでヒットした「太陽のスイム」の収録も嬉しい。

まず1枚目はムーグもの。60年代後半に注目された電子楽器「ムーグ(正しくは“モーグ”?)」で有名なアルバムといえば、ウォルター・カーロスがバッハ作品を演奏した「Switched-On Bach」があるが、これはそれのカントリー版といった趣きで、サブタイトルにはわざわざ「Swithed On Country」と入れられている。アルバムの主人公はジル・トライソールという作曲家/ミュージシャン、このCDは彼が72年と73年にリリースしたアルバム2枚とシングル音源などを集めた全25曲である。
2枚目は60年代の「フォークばあちゃん」、マルヴィナ・レイノルズ。生まれたのが1900年というからルイ・アームストロングより年上(!)の彼女は60〜70年代も精力的に活動し、残された作品にはサーチャーズの「What Have They Done to The Rain」やシーカーズの「Morningtown Ride」など、ヒットチャート入りを果たしたものもある。高田渡の「自衛隊に入ろう」の原曲が彼女の作品(未だにタイトルがわからない・・)だというのも、考えてみれば凄い話。


まずはリベラーチェ。ラウンジ系の高名なピアニスト、というより元祖「おねえMANキャラ」で知られる彼は、没後20年を迎えようという現在もなお、ラスヴェガスではエルヴィスと並ぶ名物的存在。恐らくリトル・リチャードも、エルトン・ジョンもこれまでに何千回と「R&R版リベラーチェ」と称されたであろうくらい「その業界」の先駆者なのだ。
で、肝心の内容だが、意外なことにこれが相当いい。僕たちの好きな「ボー・ブラメルズ」の音楽がここにはある。勿論アルバム「Triangle」のような華美な世界は存在しないが「Bradley's Barn」を愛聴している人であれば、これは是非とも入手すべきアルバムだろう。「You Tell Me Why」のリメイク以下、収録曲すべてがロン・エリオットの手による、というのも嬉しい。

あとこれは初出ではないが、1970年に彼の長年のビジネス・パートナーであるドン・カーシュナーが制作したアニメ番組「The Globetrotters」のサントラに提供した「Rainy Day Bells」のセダカ・バージョンも非常に素晴らしい出来で、これが聴けるのも嬉しい。「The Globetrotters」はニューヨークに実在するバスケットボール・チームだが、レコーディングに参加したメンバーは元ドリフターズ、コースターズ、プラターズなどの「60年代ドゥワップ・オールスターズ」。アルバムはオールディーズ・マニア垂涎のレア盤なので、是非近いうちに世界の何処かでCD化が実現することを願いたい。
「The Definitive Collection」はビルボードチャート初登場22位(!)という好成績を記録したので、今後彼の過去の音源復刻に拍車がかかるかもしれない。個人的には60年代後半の「The Complete Kirshner Years」なんてのが出てくれると嬉しいなー、なんてことを考えているのだが。で、もう1枚は60年代前半に活躍したバラディアー、レニー・ウェルチのベスト盤。彼のヒット曲を集めたCDといえば、1996年にTaragonというレーベルからリリースされたものがあったが、今回はそれから約10年ぶりの新装盤で、彼の全盛期であるケイデンス時代のコンプリート録音集。
1ヶ月続けた訪米レポート、最終回はニューヨークのレコード屋巡りのご報告。ニューヨークのレコード屋、特にアナログ盤を扱っている店はグリニッチ・ヴィレッジ周辺に集中しているようなので、ネットで得た情報を頼りに、ヒット曲のタイトルで有名なワシントン広場を起点に1日歩き回れるだけ歩き回ってみることに。
行ってみて判ったことだが、番地を確認しながら10数軒回ってみて、未だに営業を続けていた店はその半分ほど。廃業してしまったのか、それともネット通販に専念してしまったのか・・。レコード小売業はどこの国も厳しいようだ。また置いてあるアナログ盤も80年代のものが中心になっている店が多く、これも時代の移り変わりというやつか。60年代ものは店の隅に寂しく一箱にまとめられている・・というケースが多かった。
サイモンとガーファンクルの歌のタイトルにもなっている「ブリーカー・ストリート」に面したレコード店。店の1階はCD店、その地下がアナログ売り場になっており、品揃えはそれほどいい訳ではないが、値段は比較的良心的。15ドル以上の「貴重盤」はレジ前の棚にまとめて置いてあるので、てっとり早くそこだけを見てもいいのかもしれない。店のオヤジがカウンターの上に裁縫道具を並べて、銀ラメのドレスを縫っていたのは不気味だった・・・アンタが着るのか??
これは多分「Jersey Boys」を観たから買う気になったのだろう。フォー・シーズンズのプロデューサーであるボブ・クリューが「ボブ・クリュー・ジェネレーション」以前に発表していたインスト・アルバムで、フォー・シーズンズのヒット12曲を再演。「Jersey Boys」に登場するクリューは随分調子のいい男だったが、実際の彼もそうなのだろうか?
ダヴェルズのリードボーカルで、ソロとしても「1-2-3」のヒットを持つレン・バリーがRCAビクターに残したアルバム。昨年彼の60年代の音源が自主制作の形でCD化されたが、RCA時代だけはごっそり抜けていたのでその補完の意味で購入。彼なりの「ソウル・ミュージック」が聴けるが、アーリー・フィラデルフィア的な味わいはあまりないか。
イージーリスニング系。アーバーズが「The Letter」でサイケになる前のアルバムで、清々しいハーモニーが聴ける。60年代ポップス・ミーツ・フォー・フレッシュメン的趣き?レターメンほどベタではなく、微妙なバランス感覚を楽しめる。この前後のアルバムも是非入手してみたいが、そこら辺は気長に取り組んでいくことにするか。
ニール・セダカがそのキャリアのどん底、70年代初頭に長年のビジネス・パートナーであるドン・カーシュナーのレーベルから発表したアルバムで、日本ではここから「Superbird」がヒットを記録した。これも数日前に彼のライブを観たことを記念して購入したものだが、帰国して聴いてみたら大変な力作で驚いた。どの曲も大変なテンションで作られており、件のライブでも披露されていた「Cardboard California」などはセダカ版「McArthur Park」の雰囲気さえある。いいアルバムなのに。でもこの作品の意気込みが当時完全に空回りに終わったのは、このアルバムが1ドル99セントで買えてしまったという事実が雄弁に物語っている。
多分世界で一番有名なオールディーズ専門店。で、レコードの値段も多分世界一高い(笑)。再発盤でも最低30ドルの値段がつけられているので、その価格設定は東京でいえば「マンハッタン・レコード」並みか(??)。ここのオヤジさんがまた頑固で、レコードは客に触らせないし(盤を抜いてジャケットだけ棚に置いてある)、置いてない商品は「ない」とは言わずあくまでも「売り切れだ」と言い張ったり(笑)と、とにかく愛すべき人ではある。残念ながら希望のレコードがいずれも「売り切れ」だったため、今回は何も購入出来ずに店を出た。
ブリーカー・ストリートの先の方にあるアナログ専門店。デヴィッド・ボウイの曲から店名をとっている通り、70年代のやや尖ったロックに強い店で、他には80年代もの、ダンスミュージックの12インチが主力。60年代ものは「クラシックロック」の名称で段ボール箱3つくらいにまとめられており、殆ど感心がない様子。意外とこういうところに掘り出し物があったりするものだが、残念ながらこの日はクズばかりであった。。
ブリーカー・ストリートからややワシントン広場寄りに行ったところにある中古屋。パッと見普通のレコード屋だが店内はお香が焚かれており、店のオーナーと見られるオヤジさんは元ヒッピー風で怪しい雰囲気。在庫はかなり多い方ではあるが、品揃えはここも70〜80年代ものが中心で、60年代のポップスものは「60年代TOP40」と書かれた箱にひとまとめにされていた。
ジェイとアメリカンズがR&Rリバイバルの波に乗って発表したオールディーズのカバー集。実はこのアルバム、前年に出た「Sands of Time」と全く同内容で、この年に出たその続編「Wax Museum」がタイトルとしてしっくりくるということなのか、ジャケットを改めの「Vol.2」として出し直されたというややこしい一枚。既にCD化もされているのでわざわざアナログで入手する必要はないのだが、このジャケットが「顔出し看板」風で以前から妙に気になっていて、とうとう入手してしまった次第。いつかこのジャケットデザインを加工して、サイトで使ってみようと思っている・・。
お子様ポップス好きなものだから、どうしてもこういうのに手が伸びてしまう・・。「パートリッジ・ファミリー」に一時期「近所の子供」役で出演していたというリッキー・シーガルのアルバムで、全曲当時4歳(!)だった彼の作詞作曲ということになっている。内容はねー、耳がキンキンするようなキディ・ポップで最後まで聴くのが途中で辛くなるのだが、クレジットを見るとドラムはハル・ブレインとジム・ゴードンとか、参加メンバーは超一流なんだよねー。もうちょっと我慢して聴いてみて、いいところを見つけようと思っている。。
こちらはイースト・ヴィレッジ寄りにあるアナログ専門店「ファイナル・ヴァイナル」。ちょっと見つけるのに苦労するくらい地味な店構えで、店のドアは施錠されている。中を覗くと店主がようやく鍵を開けてくれ、入ると店内の床にはゴミが散乱、レコード棚の上には未整理のアナログ盤が積み上がっているしで、店名どおり「終わってる」感が強い。店主はあまり店舗経営に興味がないようで、僕が店内にいる間ずっとレコードの検盤をしながらその内容をネットに書き込んでいた。
69年にリリースされたワーナー系の2枚組コンピレーションで、当時の“オルタナ系”がギッシリ。一面全部がバーバンク・サウンドというサイドがあり、個人的にはこれが一番楽しい。ヴァン・ダイク・パークスが作ったダットサンのCMソングが聴けるのは、今も昔も多分ここだけ。他にもジェスロ・タルからヴァン・モリソン、ザッパやファグスにペンタングルやキンクスまで、米国配給の都合とはいえよくここまで揃ったものだ・・という顔ぶれ。ジャケ写にはこれからザッパが売り出す予定だった「GTOs」のメンバーが登場、本当にこの時期の“ヒップな”空気を真空パックしたようなアルバム。
ボストンのソフト・サイケバンド、オルフェウスの3作目。これも既にCDになっているのだが、アナログで持っていてもいいバンドかな、ということで。彼らの哀愁味溢れるサウンドは本当に好きで、聴いてて心が和む。このアルバムからは「Brown Arms in Houston」が小ヒット('69米91位)を記録、これもまたいい曲なのだ・・。
「メインストリーム以外の音楽を取り扱っています。」がモットーのこの店は、日本でいえば下北沢や宇田川町の目立たないところにひっそりとあるタイプのこだわり系レコード店。商品のセレクトには店員の好みがかなり色濃く反映されているようで、ジェイムス・ブラウンとオルタナティブなフォーク系アーティストのCDが隣り合わせで並べられていたりする。店の壁には何故かカルメン・マキ&OZの中古盤が飾られていたのが印象に残った。
基本的に毎晩夜公演1回(月曜は休演)のブロードウェイ・ミュージカルだが、水曜日だけは昼公演があり、その機会に人気ミュージカル「Wicked」を観劇。これは知り合いのブロードウェイ通(いや、むしろブロードウェイ狂というべきか)が数ヶ月前に渡米した際にチケットを入手してもらったもの(感謝!)で「とにかく現地で人気の高いものを」とのリクエストで決まった作品。その後あんなに日本公演のCMが繰り返し流されることになるとは、その時は知りもしなかった・・。
この作品の前知識は殆どなく【オズの魔法使い外伝】くらいの話しか聞いていなかったので、最初一体どういうストーリーなのか把握するまで少々時間がかかったが、段々人間関係がわかってくるにつれ話に引き込まれていった。これは面白い。
僕が思うに、この作品のメインテーマは「女同士の友情」で、これもブロードウェイ・ミュージカルとしてはユニークかもしれない。主役の2人のうちエルファバ(悪玉魔女)を演じるジュリア・マーニーはもの凄い声量と歌唱力で、彼女がソロナンバーを歌い上げると場内は拍手喝采の嵐。一方グリンダ(善玉魔女)役のケンドラ・キャセバウム(読み方自信なし)はもの凄く【ガーリー】な設定で、プクプクふくよかな彼女がブリブリな仕草や発言(彼女は現在34歳)をする度、客席の女の子たちはキャーキャー大喜び。このコンビネーションがもの凄く面白かった。
今回の旅行最後の用事、そしてニューヨークにおける最大のイベントの1つが「Jersey Boys」。フランキー・ヴァリ&ザ・フォーシーズンズの成功物語をミュージカル化したもので、登場人物はすべて実名。 上演されて1年半以上になるがもの凄い人気で、渡航前の数ヶ月毎日ネットでチケットの発売状況をチェックして、ようやく入手出来たのが1枚のみ。
上演されている「オーガスト・ウィルソン劇場」は劇場街の外れ52番街近くにある。地下鉄に乗って劇場に到着すると客の年齢層がメチャクチャ高く、60歳代が中心。確かにフォー・シーズンズがリアルタイムであればそういう年代にはなるのだが・・・前日観た「Wicked」と比べたら倍くらいか。タイトル通り前半はニュージャージーを舞台にしたストーリーなのでかの地より観劇に来ている客も多いようで、ニュージャージーネタが飛び出すと客席の一部が大盛り上がりしたりする。
このミュージカルの成功の理由はジョン・ロイド・ヤングというフランキー・ヴァリそっくりに歌える役者を見つけたこと、それがすべて。彼らの出逢いからレコードデビューまでの経緯が詳細に描かれていて、その後はただひたすら彼らのヒット曲が満載(「Sherry」や「Can't Take My Eyes Off You」などのイントロが流れると、場内は大拍手!)の非常に楽しい2時間強。ただ、予想していたよりドラマ部分の比率が高く、それが若干全体をダレさせているかな?という印象も。この作品を単なるジュークボックス・ミュージカルで終わらせたくないという意気込みの現れだとは思うのだが、流れが何度も断ち切られるのでそれがちょっと気になった。逆にいえばこの舞台構成のまま映画化も出来るんじゃないか?とも思ったが。勿論ジョン・ロイド・ヤングの主演で。
ニューヨークで観たライブの一本目はなんとニール・セダカ!これはちょうどこの頃彼のキャリア50周年を記念してリリースされた最新ベスト「The Definitive Collection」のプロモーションのため実現したクラブライブで、会場はグリニッチ・ヴィレッジの一角にある「Joe's Pub」というお店。定員が200名そこそこという狭いところで観れたのは非常にラッキーだったが、60代中心の客に混じってギュウギュウ詰めに座らされ、しかも料理とドリンクをオーダーしなければならない・・という状況には少々閉口した。
この時リリースされた「The Definitive Collection」の内容はいずれこのブログで詳しく紹介するが、60年代のヒット(再録)と70年代のヒット(オリジナル録音)、それに近年の録音や初期のデモ録音なども収録されたまさに彼のキャリアを総括した内容。ステージでセダカ自身が言っていたが、このCDのリリースに際し所属のレコード会社はかなりプロモーションに力を入れたようで「Joe's Pub」の一週間公演に加えてTV出演や、この前日にはカーネギー・ホールで開催されたニューヨーク・ポップスのコンサートへゲスト出演と、非常に精力的。「レーベルはこのCDをビルボードチャートにランクインさせるって張り切ってるけど、それが本当に実現したら僕にとって28年ぶりのことなんだよね・・。」と話していた(何週間か前にその結果が発表されたが、成績はなんと初登場22位!!これは75年に最高16位を記録したアルバム「The Hungry Years」に次ぐ彼の全キャリア通じて2番目の好ランクなのだ)。
The Other Side Of Me 「これは僕のごく初期の作品、50年以上前に書かれその後レコードになったものです。」
ニール・セダカの翌日はハーレムのアポロ・シアターへ高名な「アマチュア・ナイト」を観に。一度は観たいイベントでしょ。実際行ってみたら日本人客の多さにビックリしたけど・・。
で、ショーの後半はお待ちかねのアマチュア・コンテスト。この時間帯になるとそれまで空いていた中央の席に地元客とおぼしき人々がゾロゾロと着席。彼らのための席だったのだ。この地元客が凄くて、かなり幼い子供などもいたりするのだが「本場のブーイング」というものを目前で観させてもらった。舞台の下手にはこのコンテストにご利益があるとされている切り株(?)の像があり、出場者は皆これに触ってから演目を始める。
ショーのMCは名前を失念してしまったが(MTVでショーを持っているようなことを言っていた)バックのバンドといいコンビネーションでジョークを連発、この人がとにかくその日の出場者をネタにして、合格者でも不合格者でも物まねしたり大袈裟に誇張したりで笑いをとる。出場者の合格不合格は客の反応で決めていて、中にはだた「Boo」と言いたいだけじゃないか?というくらい、どのパフォーマンスでも始まった途端にブーイングする客や、あきらかに出場者の応援団らしき一団がいて、他の出場者にはブーイング、自分の応援する人のみ喝采・・という場面も観られたが、概ね皆公正にジャッジしていた。同じパフォーマーでも、歌いだしでは「Boo」でもやがてサビで熱唱になると「Wow!」に変わったり、年輩の出場者に子供たちがブーイングしてると、その親が「黙って聴きなさい!」とたしなめながら声援を送ったり・・と、日本ではなかなか見られない光景の連続が興味深かった。不合格が決まった出場者を舞台の袖まで「送還」するパフォーマーのC.P.レイシーも面白く、毎度衣装を替えて客席を楽しませてくれる。