
いやはや、こんなアルバムが人知れずCD化されているとは。パリス・シスターズのプリシラ・パリスが1969年に発表したビリー・ホリデイへのトリビュート・アルバムがスペインの「LP Time」というレーベルから紙ジャケ復刻された。そんな情報、一体どこから得ればいいんだか・・。
パリス・シスターズのキャリアについては以前彼女たちのアルバム「Everything Under The Sun」がCD化された時に長々と書いたので右の画像のリンク先をご覧いただきたい。ジャケ写が最高なこのアルバムはビリー・ホリデイのレパートリーとしてお馴染みの曲をプリシラが儚げなウィスパリング・ヴォイスで歌うというかなり倒錯した企画だが、内容は意外と悪くない。アルバムのプロデュースを担当したのは西海岸のセッション・ギタリストとしてフィル・スペクター一連のセッションからマーヴィン・ゲイの「Let's Get It On」まで数多くの作品に参加しているドン・ピーク。彼の指揮による控えめなバンドとストリングスをバックに、プリシラはビリー・ホリデイとはまったく異なる性質の「憂鬱(ブルー)」を歌っている。「アラバマに星落ちて」「マイ・マン」等ホリデイ極めつけのナンバーにまでなるとさすがに違和感を覚えるが「どんなに環境は違っても、女の子にはそれぞれの悩みや憂いがあるの。」と解釈すべきなのだろう。
このアルバムに共通する雰囲気を持つ作品を挙げるとすれば、クロディーヌ・ロンジェがA&Mから当時の夫アンディ・ウィリアムスの経営する「バーナビー」に移籍後発表した、心の暗部をさらけ出したような憂鬱な雰囲気溢れる諸作あたりになるだろうか。ジャズ・ボーカルファンにも、ガール・ポップファンにも、そしてストレンジな音楽を好む方にも、コレクションに加えていただきたい珍品にして好盤。

