
元ハーマンズ・ハーミッツのピーター・ヌーンが70年代末に結成したバンド「トレンブラーズ」が1980年に発表したアルバム。当時流行のパワーポップ/ニューウェーブ系のサウンドになっており、エルヴィス・コステロのカバー「Green Shirts」を除く全曲のソングライティングにヌーンが関わっている。全編通して彼の張り切りぶりが目立っており、音楽的な印象としてはパートリッジ・ファミリー独立後のデヴィッド・キャシディが、ゴーゴーズをバックにアルバムを作ってみました、という感じか。【ハーマン】の残像を期待して聴くとがっかりするかも知れないが、パワーポップファンにはちょっとした掘り出し物のアルバムだと思う。
残念ながら当時のリスナーは依然として彼に【ハーマン】のキャラクターを求めており、ライブ会場では新曲ではなく60年代のヒット曲を演奏することを盛んに要求され、それがバンドが短命に終わる要因となったという。ヌーンは82年にあと1枚「One of The Glory Boys」を発表した後にハーマンズ・ハーミッツを再編、ノスタルジーの世界に活路を見出す一方でTVや舞台で活躍していくこととなるので、このアルバムはオンタイムな音楽家としての彼の最後のトライアルが記録されている、と考えてもいいだろう。

