
1945年にプエルト・リコに盲目の子として生まれ、5歳の時にニューヨークに移住したホセ・フェリシアーノが英語圏でセンセーショナルなデビューを果たしたのは1968年のこと。ドアーズのカバー「ハートに火をつけて」はスパニッシュ・ギターによるアコースティックなサウンドに仕上げられたオリジナルとはまた違ったアシッド感の溢れる名演で、全米チャートの3位まで上昇。彼は近年でいえばリッキー・マーティン並みの注目度でもって、アメリカのポップ・シーンに受け入れられた。今回CD化されたのは69年にリリースされた「10 to 23」と70年の「Fireworks」のカップリング。「10 to 23」は冒頭にフェリシアーノの天才少年時代(当時10歳)の録音「Amor Jibaro」が収録され、それに続いて「When I was small...」で始まるビー・ジーズの「若葉の頃」が演奏される構成がニクい。当時のコンテンポラリーな作品のカバーが大半を占めているが、唯一のオリジナル曲「レイン('69米76位)」は日本でもヒットを記録した。
続く「Fireworks」はヘンデルの「王宮の花火の音楽」をオーケストラと共演し奏でたバージョンをフィーチャー。彼はギターを独学で習得したが、耳に入る音楽は何でも再現出来るマルチ・プレーヤーなのだ。こちらもボーカル、インスト曲取り混ぜたカバー曲が大半を占めており、ここからはCCRのカバー「Susie-Q('70米84位)」とオリジナル「Destiny(83位)」がHOT100にランクイン。ローリング・ストーンズの「(I Can't Get No) Satisfaction」のクールなサウンド・プロダクションは、今日のクラブ・ユースにも耐え得る。
2作通して特筆すべきは、ビートルズ・ナンバーの多さだろう。このCDには都合8曲のレノン=マッカートニー作品が収録されており、当時の音楽界随一のインタープリターである彼の、独特なビートルズ解釈を存分に楽しめる素晴らしい内容になっている。
フェリシアーノは現在も精力的に各国をツアーしており、個人的にはこの何年か最もライブで観たいアーティストの1人である。是非とも来日公演の実現を!動画はこの時期の「レイン」が残念ながら見つからなかったので、映画「華麗なる賭け」のテーマ「風のささやき(「10 to 23」収録)」を。

