2008年01月13日

Some Things Just Stick in Your Mind: Singles and Demos 1964 to 1967 - Vashti Bunyan (DiCristina)

Some Things Just Stick In Your Mind: Singles and Demos 1964 to 1966 - Vashti Bunyan

Just Another Diamond Day - Vashti Bunyan ('70) 正直に書いてしまうと、僕はつい最近までヴァシュティ・バニアン(未だに正確な表記がよくわからない・・)の存在を知らなかった。先日「The Changing of The Guard」のCDを入手するまでは。そこに収録されていた「Winter Is Blue」の儚げな魅力と、その奇妙な名前に惹かれてネット検索してみたらビックリ、1970年に発表したアルバム「Just Another Diamond Day」1枚を残し、長い間【幻のシンガー】と呼ばれていた彼女は近年になって活動を再開し、2007年にはなんと来日公演まで実現していたという・・。完全に乗り遅れた形となったが、遅ればせながら件の「Just Another 〜」と来日公演後にリリースされた60年代の録音集「Some Things 〜」を入手し聴いてみた。

Vashti Bunyan バニアンがイギリスの音楽シーンに登場したのは1965年のこと。デッカから1枚、翌年にコロンビアから1枚シングルをリリースし、その後イミディエイトと契約したもののシングルやアルバムのリリースには至らず(その経緯で録音した1曲が「Winter Is Blue」であった)・・という彼女の60年代の軌跡を、彼女手持ちの音楽ソースからたどったのがこの2枚組CD。デッカ・レコードとの契約に至った64年のデモ・テープから公式発表された作品(ただし板おこし)、当時大半が未発表に終わったイミディエイト時代の録音までの全25曲で、プロデューサーのアンドリュー“ルーグ”オールダムが裏ジャケにコメントを寄せているとおり、彼女のウィスパリング・ヴォイスは当時フランスで起こっていた新しい音楽の流れ(日本では「フレンチ・ポップ」と呼ばれる)に通じる雰囲気がある。

 アマチュア時代の彼女が録音した1964年のデモは全部で12曲が収録されているが、この時点で既に彼女の基本スタイルは確立されていることがわかる。デビューにあたってオールダムは仲間のストーンズ2人(ミック・ジャガーとキース・リチャーズ)にこのアルバムのタイトル曲を提供させたが、それは純然たるガールポップで、彼女の魅力を表しているとは言いがたい。以降の彼女のオリジナル作品に真価は現れており「Winter Is Blue」を入口に彼女の作品世界に接した者としては耳に心地よい作品が並ぶ。面白かったのはイミディエイトのレーベル・メイト「トゥワイス・アズ・マッチ」と共演しバリー・マンとシンシア・ウェイル作品を歌った「Coldest Night of The Year」で、ここではオールダムによる疑似スペクター・サウンドが楽しめる。その他デモ録音でも「17 Pink Sugar Elephants」など想像力をかき立てられる作品が並んでおり、歴史に埋もれかけたこれら作品に出逢えた喜びを、感じずにはいられない。

 勿論この録音群は内容的にフォーク/トラッドの隠れた名作との評価もある「Just Another 〜」を超えるものではない。が、彼女の魅力にはまった者であれば手にせずにはいられない1枚だろう。個人的には、近年でいえばジュディ・シル以来の大きな出逢いであった。


posted by yakame at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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