2007年09月10日

Somebody Stole My Thunder: Jazz-Soul Grooves 1967-1971 - Georgie Fame (Sony/BMG)
In The Mind of Jamie Cullum (Direct 6.)

Somebody Stole My Thunder: Jazz-Soul Grooves 1967-1971 - Georgie Fame In The Mind of Jamie Cullum

 ここ数年の我が国における再評価、というか初評価?の勢いがもの凄く「この人ってそこまで素晴らしいアーティストだったっけ?」と思えなくもないジョージィ・フェイム。彼は60年代〜70年代にかけていくつかのレーベルを渡り歩いていて、まずブレイクしたのが64〜66年の英コロンビア時代。「Yeh Yeh('64英1位/米21位)」をはじめとする一連の録音は「モッドジャズ」というか愛嬌のある白人R&Bで、そのB〜C級感は非常に好感が持てる。

The Best of Georgie Fame 1967-1971 今回届いたのはその後67〜71年にかけて在籍した英CBS時代のコンピレーション。この時期も日本では昨年紙ジャケ仕様でオリジナルアルバムの復刻が実現しているのだが、面倒くさがりな僕はベスト盤でザァっと聴ければいいや、とイギリスで出ていたコンピレーションで間に合わせることに。しかしこのベスト盤が、あまり面白くないのだ。当時の彼はMOR系のポップシンガーとしての成功を求めて(求められて)いたようで、シングルでリリースされた曲は中庸なポップ曲がほとんど。そんな中から風変わりな「The Ballad of Bonnie and Clyde('67英1位/米7位)」のようなヒットも生まれたりしたのだが、それ以前のR&Bサウンドを期待して聴くと随分と失望させられる出来の曲が多く、海外の評論を見ると「CBSに移籍した時点で彼の創造性は失われた。」なんてことが書いてあったりする。

Georgie Fame for Cafe Apres-midi で「いや、そんなことはない!」と編まれたのが今回の「Somebody Stole 〜」で、彼のJazz/R&B系の録音ばかりを厳選し、先のベスト盤とはケニー・ランキンの「Peaceful」他5〜6曲しかダブらないこだわりの全24曲を提示。これを聴くとCBS移籍後の彼が決して「魂を抜かれた」訳ではなかったことがわかり、彼のファンも一安心だろう。オルガン・ジャズ風の録音になっている曲が特によく、中でもラテン・ビートが効いている「El Pussy Cat」や自作の「Beware of The Dog」といったインスト・ナンバーは部屋のBGMとして何度も繰り返し聴きたくなってしまう。何年か前にコロンビア録音から選曲された日本編集盤「Cafe Apres-midi」の続編としても楽しめる内容。

Jamie Cullum もう1枚は、ある意味現代のジョージィ・フェイムと言ってもいいかもしれない(メチャクチャ異論ありそうっ!)ジェイミー・カラムが選曲したコンピレーション。昨年観た彼の来日公演(@ CLUB QUATTRO)は非常に楽しくて、そのショーマンシップとアイディアの豊富さ(披露される曲毎に演奏スタイルが変わると言ってもいいくらい)に感心させられ、ツアー先の世界各地で毎晩のように「伝説」を生み出していたであろう当時の(今も?)彼のステージを目の当たりにすることが出来て本当によかったなー、と思ったものだったし、彼が何者かよくわからないまま会場についてきた知り合いのジャズオヤジたち(50歳代)が、彼のステージングと、フロアの8割方を占める女性客のアヴェレージの高さ(本当に!)に大変感銘を受けていた様子も印象的であった。

Catching Tales - Jamie Cullum ('05) イギリスで最近設立されたらしいレーベル「Direct 6.」は様々なミュージシャンに自由に選曲させたコンピレーションをリリースしており、カラム編はその第3弾となる。テーマは「友人にミックステープを作ってあげるとしたらこんな感じ」だそうだが、初っ端からニーナ・シモンが陰鬱に歌うランディ・ニューマンの「I Think It's Going to Rain Today」である点で、このCDが「ちょっとしたパーティのBGM」として作られた訳ではないことがわかる。

 選曲はジャズを基調にヒップホップやアンビエント風、ブラジルのルイス・ボンファからドノヴァンまでと非常に幅広い。全体的にダウナー系の曲調が多く、2000年代に録音された作品も多いのだが、何故か醸し出される雰囲気は1990年代風。クラブでジャズが盛り上がっていた時代を思い起こさせる「懐か新しい」1枚である。このCDのためにカラム自身も新録2曲を提供しており、1曲は彼が敬愛するマーク・マーフィに続けてバップ風ボーカルを聴かせる「I'd Probably Do It Again」、もう1曲はスタンダードをアコースティック・スウィング調に料理した「After You've Gone」と、相変わらずの引き出しの多さを感じさせる。

 彼の音楽性は、決して「明るい」とはいえないこんなマニアックさに支えられているんだなー、ということが再確認できる意味でも興味深い1枚。熱心な彼のファンは、このCDを彼からの私信として受け止めるのかもしれない。

posted by yakame at 00:00| Comment(0) | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/54415108

この記事へのトラックバック

イマージュ
Excerpt:  このアルバムはそのほとんどがTVやCM、映画のテーマ曲集で、決して新しい企画ものとは言えないだろう。それにも係わらず、これだけの支持があり、シリーズ化するほどヒットした背景には、やはり楽曲のクオリテ...
Weblog: 日本 ジャズをたくさん集めました
Tracked: 2007-09-28 00:18