近年ポール・マッカートニーの最高傑作との呼び声が高まっている1971年のアルバム『RAM』。巷の評判はさておき(いやいや傑作ですが)当時ポール先生の同作の出来栄えへの自信/思い入れは尋常でないレベルだったようで、アルバム全編をノスタルジックなオーケストラ・アレンジでカバーするという匿名の自作自演アルバムのリリースまでが企画された。
1939年(ポールの3歳年上)にロンドンのコヴェントリー大聖堂で生まれアメリカで音楽を学んだバンドリーダー、パーシー“スリルズ”スリリントンというキャラクターは、かつて“ペッパー軍曹”を生み出した彼にはいつもの創作過程の産物といったものなのだろう。アルバム発表直後に録音されながらウィングスの活動との兼ね合いか77年までリリースが見合されたことでアルバム制作の意味が曖昧になってしまったが、宅録派で超オタクな一面を持つポール先生が自信作のリリースに際して、ロック以外のリスナー層にどのような複合マーケティングでアピールするかを夢想していたか・・なんてことを考えると、このアルバムをより面白楽しく聴くことができるのではないかと思う。
Too Many People
3 Legs
Ram On
Dear Boy
Uncle Albert/Admiral Halsey
Smile Away
Heart of The Country
Monkberry Moon Delight
Eat at Home
Long Haired Lady
The Back Seat of My Car