
昨年のゴールデンウィークにアメリカを旅行した際、運よくアル・グリーンのライブをシカゴで観ることが出来て・・・という話を人にすると必ず「ライブっていってもゴスペルばっかり歌ったり、説教臭かったりするんでしょ?」と言われる。とんでもないっ!現在の彼は完全にエンターテインメントの世界に戻っていて、歌うのは往年のヒット曲ばかり!大量に赤いバラを用意してポンポン客席に放り込みながら歌い、白人のオバちゃんたち(50代くらいの)がキャアキャア言って盛り上がっている、と、そんな感じのノリなのだ。
そんな彼の全盛期、70年代に在籍したハイ・レコード時代のアルバムが「The Legendary Hi Albums」のタイトルで現在一まとめにCD化され始めている。まず「Vol.1」は最初の4枚「Green Is Blues ('69)」「Al Green Gets Next To You ('71)」「Let's Stay Together ('71)」「I'm Still In Love With You ('72)」を2枚のCDにカップリング。ブレイク前の「〜 Blues」は60年代のヒット曲のカバーを中心に、不発に終わった自作のシングル曲なども収録。バックの演奏は意外なくらいにファンキーで、ジャケットの気合いの入った顔(柄悪っ!)ともども、後のロマンチックなアル・グリーンの世界とは一線を画す雰囲気。ボーナスとして追加されたハイにおける最初のシングル「I Want To Hold Your Hand(ビートルズの!)」も結構いい感じ。続く「〜 Next To You」はブレイク作「I Can't Get Next To You」と「Tired Of Being Alone」をフィーチャー。前作から2年ほど時間があいているので彼及びバックを務めるハイ・リズムの面々の成長が著しく、演奏のファンキーさがますますアップ。恐ろしさすら感じるくらい。で、同年発表の「Let's Stay Together」で彼の黄金期は始まる。ここから先は説明の必要なし、アルバムにタイトル曲以外のヒットが入っていなくてもまったく気にならない。ビー・ジーズの「How Can you Mend A Broken Heart」のカバーに至っては、もはや“歴史的名唱”。次の「I'm Still In Love With You」は彼の絶頂期を記録した名盤で、こんなにも素晴らしい音楽を、彼にもたらした神に感謝したいくらい。タイトル曲が名作なのは当然だが、「Love And Happiness」、このレコーディングに比肩し得る70年代R&Bって一体幾つあるんだろう?と思うくらいの空前絶後。でもこの曲は当時シングル・カットしてないんだって。信じられないっ!
などと熱くなりながら話は「Vol.2」へ。こちらは「Call Me ('73)」「Livin' For You ('73)」「Al Green Explores Your Mind ('74)」「Al Green Is Love ('75)」の4枚分の音源を収録。「Call Me」では前作の好調を維持、有名なタイトル曲をはじめ「Have You Been Making Out OK」「Your Love Is Like The Morning Sun」など、キャリアの絶頂を迎えた彼のスウィートネスを存分に味わえる内容になっている。同年矢継ぎ早にリリースされた「Livin' For You」は4曲目のR&Bナンバー1ヒットとなったタイトル曲をフィーチャーしているが、この頃になるとサウンドにややわざとらしさが感じられるように。勿論内容は悪くないのだが「Let's Get Married」あたりになるとあまりにも同パターンが続き過ぎ「もういいよ。」という気持ちになってしまう。。
その印象は「〜 Explores Your Mind」と「〜 Is Love」も同じ。「Sha-La-La」や「L-O-V-E」といった大ヒットは勿論いいが、サウンドにかつての勢いが感じられない。中にはいい曲もあるかな、という程度。他のアーティストの作品と比較すれば、依然高いレベルを保ってはいるのだが。
ということで、駆け足でアルバム8枚分の紹介はお終い。アルバムから漏れたシングル音源も網羅しているので、このシリーズを揃えれば70年代最重要R&Bシンガーの一人、アル・グリーンのすべてを安価に聴くことができる。、76〜78年に発表した音源をまとめた「Vol.3」も、入手出来次第紹介したい。

