年末にソニー・レコードからリリースされた税抜1,000円の「ヨーガクトクセンBEST」シリーズから、これまで何故か未入手だったものを。ケニー・ロギンスはMTV世代にとっては“サントラの帝王”というディスりに近い称号を冠されたアーティストで、華美で派手派手しいヒットを連発した印象が強いが、その一方で過去の彼を知る音楽ファンには「いや、本当はそんな人じゃないんだよ。」と擁護の言葉をよく耳にするという、なんとも評価が定まらない印象を長年持ち続けていた。1997年にリリースされたこのベスト盤は、彼のソロキャリアをほぼカバーした内容で、チャートヒットも大方を聴くことができる。AOR系のメロウなナンバーと“帝王系”ポップの二本立てとなっており、サントラ路線は1980年の「I'm Alright」からその後ほとんど作風が変わらないこともわかる。このままだと彼のことを嫌いになってしまうので(笑)初期のアルバムをボックス化した『Original Album Classics』のリリースを待ち、それを聴いて最終評価を下すことにしたい。
2019年12月31日
Yesterday, Today, Tomorrow: The Greatest Hits of Kenny Loggins (Columbia/Sony Music Labels)
年末にソニー・レコードからリリースされた税抜1,000円の「ヨーガクトクセンBEST」シリーズから、これまで何故か未入手だったものを。ケニー・ロギンスはMTV世代にとっては“サントラの帝王”というディスりに近い称号を冠されたアーティストで、華美で派手派手しいヒットを連発した印象が強いが、その一方で過去の彼を知る音楽ファンには「いや、本当はそんな人じゃないんだよ。」と擁護の言葉をよく耳にするという、なんとも評価が定まらない印象を長年持ち続けていた。1997年にリリースされたこのベスト盤は、彼のソロキャリアをほぼカバーした内容で、チャートヒットも大方を聴くことができる。AOR系のメロウなナンバーと“帝王系”ポップの二本立てとなっており、サントラ路線は1980年の「I'm Alright」からその後ほとんど作風が変わらないこともわかる。このままだと彼のことを嫌いになってしまうので(笑)初期のアルバムをボックス化した『Original Album Classics』のリリースを待ち、それを聴いて最終評価を下すことにしたい。
Ultimate Survivor (Volcano/BMG/Sony Music Labels)
多くの音楽ファンにとってサバイバーは映画『ロッキー3』の主題歌「Eye of The Tiger」の一発屋、もうちょっと詳しい音楽ファンには映画『ロッキー4』の主題歌「Burning Heart」も加えた二発屋、というイメージが強いはず。しかしリアルタイム世代はご存知の通り、彼らは80年代半ばはヒットチャートの常連的存在で、ヒット曲は枚挙に暇がない。
1970年代のシカゴエリアでちょっと名の知れた幾つかのバンドのメンバーが寄り集まった“プチ・スーパーグループ”の彼ら・・・という話を始めると長くなるので割愛して。1970年代後半から“ライトなアメリカン・ハードロック(この言葉矛盾してる??)”を得意とし、80年代を通じて20曲ものHOT100ヒットを生み出した。個人的には二代目ボーカリストのジミ・ジェイミソン時代のヒットが耳に馴染みがあるが、こういう他愛のない(失礼!)ロックナンバーに“アメリカ”を感じた時代が、なんとも懐かしい。
All My Life: The Best of Karla Bonoff (Columbia/Sony Music Labels)
2019年12月28日
小西康陽 presents 大都会交響楽: Readymade digs Brunswick (Brunswick/Ultra-Vybe)
Giles Peterson: Brunswick Bubblers (Brunswick/Ultra-Vybe)
2019年12月25日
Reconsider Me: The RAM Singles & More Southern Gems - Margaret Lewis (Ace)
Singles As & Bs 1956-1962 and more - Bonnie Guitar (Jasmine)
日本では昭和32年のヒット「ダーク・ムーン」で知られる女性シンガー、ボニー・ギターの初期録音集2CD。カントリーを本拠にしたアーティストだがクセがなく艶のある歌声でポピュラー系の録音もこなし、月をテーマとした曲ばかりを集めた57年のアルバム『Moonlight and Shadows』も、ゴスペル集の58年作『Whispering Hope』も女性ボーカルファンには聴き逃せない内容。なお彼女は実業家としてレコード・レーベルの「ドルフィン(後のドルトン)」を設立してフリートウッズやヴェンチャーズを世に送り出し、アーティストとしても1989年(彼女は60代!)までカントリーチャートに登場するなど、その後も幅広く息の長い活躍を続けている。
The Greatest Country Hits of 1961 (Acrobat Music)
Steel Guitar Hall of Fame (Nashville/Starday)
The Steel Guitar and Dobro Sounds of Shot Jackson and Buddy Emmons (Nashville/Starday)
2019年12月22日
Sweet Talkin' Guy - The Chiffons (Oldays)
1960年代前半に活躍したガールシンガー/グループは、1964年のビートルズ旋風に端を発するブリティッシュ・インヴェージョンを機にそのほとんどがヒットチャートから姿を消すことになったが、その中で(モータウン系のグループは別文脈になるので除外すると)シャングリラスやレスリー・ゴアなどごく限られたアーティスト同様チャートに踏みとどまったグループの一つがシフォンズ。1963年の「One Fine Day」以来のTOP10ヒットとなった「Sweet Talkin' Guy」をタイトルに冠した66年のアルバムがボーナス付きで復刻された。
彼女たちをバックアップしていたのはトーケンズの面々からなる“ブライト・チューンズ・プロダクション”。ソフトなポップ感覚と時代のサウンドを融合させることに長けた彼らは65年にはいち早くサイケデリックな感覚を取り入れた「Nobody Knows What's Goin' On (In My Mind But Me)」を彼女たちの作品として送り出して他のガールグループとは一味違う一面を見せ、翌年にはトーケンズ自身や弟分のハプニングス同様ソフトロック的な感覚がうかがえる「Sweet 〜」を手掛け、チャートの第一線に返り咲かせた。その後これに匹敵するヒットは生まれなかったがこの時期の彼女たちの作品はどれも佳曲揃いで、ソフトなポップスを好む向きには是非ともお薦めしたい。
余談になるがシフォンズはその後ジョージ・ハリソンが70年にリリースした「My Swet Lord」が彼女たちの過去のヒット「He's So Fine」のパクリでは?という騒動で再びスポットが当たり、なんと彼女たち版の「〜 Lord」もリリースしてしまう悪ノリぶりを見せ、72年にはノーザンソウル・ブームで60年代に録音されたR&Bナンバーが次々とヒットチャートに再登場していたイギリスで「Sweet Talkin' Guy」が再ヒット(最高4位)。デビューから約10年間にわたり表舞台で活躍を続けることとなる。
The World Is Mine: The Pop Recordings 1964-1971 - Barry Gordon (Teensville)

ゴードンはTVの世界で大変な成功を収めたようで、ある番組ではエミー賞を受賞するほどの活躍。一方でティーンアイドルとして数社からシングル盤をリリースしており、それらを集めたのがこのCD。中でも60年代後半にダンヒル/ABCで録音した作品はソフトロックとしてかなりの聴きもの。更に71年には全曲自作のポップ・コンセプトアルバム『Pieces of Time』を発表(本CDに全編収録)、そこでは青年版リチャード・ハリス的世界が展開されている。80年代には全米俳優組合の会長も務めたという彼の、これまであまり知られることのなかった音楽的側面を存分に楽しめる一枚。
The London American Label Year By Year: 1967 (Ace)
2019年12月19日
It's Getting Better: The '64 - '68 Anthology - Jimmy Nicol (Timebox)
1964年に行われたビートルズのワールドツアーで、リンゴ・スターが病気のため出演しなかった二週間だけメンバーとして彼らに同行したドラマー、ジミー・二コルのアンソロジー。イギリスのスタジオシーンでは名の知られたドラマーだった彼(ビートルズへの参加もジョージ・マーティンの推薦だという)はツアーから帰国後彼自身の名義で何枚かのシングルをリリースした後、スウェーデンの人気インストバンド、スプートニクスに加入。ちょうど「霧のカレリア」が人気を呼んでいた時期で来日公演も度々行われ、その名は知られてなくても日本の音楽ファンにはなじみ深いミュージシャンの一人であった。
このCDは彼のスプートニクス時代以外の録音を集めたもの。イギリスでリリースされたシングルはオルガンをフィーチャーした“モッドJAZZ”風のインスト、1968年にメキシコに渡ってアメリカ人ソングライターのエディ・クインと結成した“二コルクイン”のアルバムはゆる〜いソフトポップで、それぞれのジャンルのファンに再評価されそう。なおアルバムタイトルの「It's Getting Better」は彼の口ぐせだそうで、数年後それをふと思い出したポール・マッカートニーがジョン・レノンとともに作った曲が『サージェント・ペパーズ』収録のあの曲になった、というエピソードは、ビートルズマニアの間ではよく知られているのだとか。
The Immediate Pleasure - The Eyes/The Pupils (Oldays)
She Came from Liverpool!: Merseyside Girl-Pop 1962-1968 (Ace)
1960年代前半のリバプールには、ビートルズ以下数百とも数千ともいわれる“マージービート”と総称されるビートバンドがひしめいていたと半ば伝説のように語られているが、当地の婦女子も負けじとレコードデビューの機会をうかがい、その中には実際にデビューのチャンスをつかんだアーティストも少なくなかった・・・という内容のコンピレーション。リバプール出身の女性アーティストで最も成功を収めたのは“ビートルズの妹分”としてデビューしたシラ・ブラックであることは間違いないが、他にも様々個性的なアーティストが活躍していたことがわかる。ビートサウンドから純粋なガールポップまでスタイルは様々、新しいロックの時代に果敢に挑んだ女子たちの記録がここで聴ける。
なおCD最後に収録されているサンディ・エドモンズの「Come See Me」はニュージーランド産のガール・ガレージ・クラシックとして様々なコンピレーションに収録されているが、ライナーノーツによると彼女は15歳までリバプールで育ったのだとか。「だから何だ」といわれそうだが、指摘があるかもしれないので一応書いておきます・・。
2019年12月16日
The Hi Records Single Collection - O.V. Wrught (Hi/Solid/Ultra Vybe)
The Hi Records Single Collection - Otis Clay (Hi/Solid/Ultra Vybe)
The Complete Quiet Elegance On Hi Records (Hi/Solid/Ultra Vybe)
2019年12月13日
Live at Home with His Bad Self - James Brown (republic/UMe)

当時は買えるレコードの枚数が少なかったので、こんなアルバムでも何度も繰り返し聴いてすっかり中身は頭に刻み込まれたが、この度そのライブ部分にこれまで未発表だった音源を加えた“完全版”がCDでリリースされた。このCDで初めて知ったのは、ライブ録音だとばかり思っていた「Lowdown Popcorn」と「Spinning Wheel」のインスト2曲も実はLPではスタジオ録音だったという点(観客の歓声がオーバーダブされていた)で、これまで聴いたことのなかったバージョンがここには収められている。ライブが行われたのは後のJB流ファンクを確立するバンドメンバーが次々と加入し、JBが盛んに「Popcorn」をタイトルに冠した習作ファンクを連発していた時期。70年代初頭の“完成期“と比べまだ試行錯誤は見られるが、聴いているうちに気づくとファンクの渦に飲み込まれているような、覚醒性の高いグルーヴが既に実現している。
Everything Is Gonna Be Alright - 50 Years of Westbound Soul & Funk (Westbound/Ace)
2019年12月10日
Losst and Founnd - Harry Nilsson (Omnivore Recordings)
Becoming Peter Ivers (RVNG Intl.)
2019年12月07日
Looking for The Sun • Curt Boettcher and Friends (High Moon/Sony Music)
カート・ベッチャーがスティーヴ・クラークと立ち上げた「アワ・プロダクション」で1960年代半ば〜後半に制作した作品を中心としたコンピレーション。ベッチャー関連の音源は1990年代に日本で過熱気味に発掘され、僕も渋谷宇田川町界隈の輸入レコード屋で劣悪な音源のブートCDを高額な値段で購入してしまった苦い思い出があるが(笑)、今回はソニー・ミュージックと正式なライセンスの下リリースされた高音質盤なので「既にここら辺の曲は持ってるよ」というソフトロック・マニアにも、改めて聴いて新鮮な発見があるはず。収録曲の多くはベッチャー以下“ミレニアム組”のサイケなコーラスがフィーチャーされており、中毒性は高い。個人的にはマジック・ランタンズ1968年のヒット「Shame, Shame」のキース・コリー版オリジナル・バージョンが意外な拾いもの。
Maybe Tomorrow - Angel Pavement (Morgan Music)
1960年代末にシングル2枚のみをリリースし姿を消したイギリスはヨーク出身のハーモニーポップ・グループ、エンジェル・ペイヴメントの当時未発表に終わった1970年のアルバム音源を中心に、レコーディング・スタジオに残っていた彼らの録音を総ざらいした印象の2枚組CD。イギリス人はなぜここまでマイナーなグループのマスターテープを50年も後生大事に残しているのか(笑)。メンバーたちのペンによる耽美的なバブルガム・ポップから、グレープフルーツの「エレベーター」風、もしくはシカゴの「長い夜」風のイントロ付きのアイヴィーズ「メイビー・トゥモロー」のカバーや、彼らがサンフランシスコに赴きライブのサポートを務めたというバッファロー・スプリングフィールドやモビー・グレープのレパートリーまで、ライナーノーツを読み進めながら聴くと楽しい、興味深い楽曲が多数収録されている。
The Singles A's & B's - Dino, Desi & Billy (Wounded Bird/Rhino)
2019年12月04日
Warner Pop Rock Nuggets Vol.11: Never Let Her Go (Warner Music Japan)
Warner Pop Rock Nuggets Vol.12: Love Hurts (Warner Music Japan)
2019年12月01日
Every Move You Make: The Studio Recordings - The Police (A&M/Polydor/UMC)
ポリスの再結成公演を、大学時代に在籍していた洋楽サークルのメンバーたちと東京ドームに観に行ったことがある(ネットで調べたら2008年のことのようで、もう10年以上も経過していることに軽いショックを受けた・・・)。洋楽の聴き始めがやや遅かったこともあり、僕がリアルタイムで聴いたポリスのアルバムは彼らのラストアルバムである『Synchronicity』のみで、それ以前の曲はベストアルバムでなぞった程度にしか聴いていなかったため、初期のレパートリーが演奏される度客席から熱い反応が沸き立つ様子をうらやましく思いながら観ていたことを記憶している。
つい先日、彼らのすべてのアルバムとシングルB面やEP等に収録されていた音源を集めた編集盤を収めた6枚組ボックスがリリースされた。彼らのほぼすべて(残念ながら「De Do Do Do 〜」の日本語バージョンはこのボックスの日本盤にも収録されなかった模様)をかなり手頃な価格で聴けるこのボックスを、自分なりのポリス像を築けるところまで聴き込んでみようと思う。