2018年11月22日

True Love Ways - Buddy Holly with The Royal Philharmonic Orchestra (Decca)



イギリスのロイヤル・フィルハーモニック管弦楽団は近年ロック系アーティストとの共演にご執心の様子。“ロック系”といってもその多くは鬼籍に入ったアーティストで、エルヴィスに始まり、ビーチ・ボーイズ、カーペンターズ・・・といった塩梅(まだ生きている人もいるが)。

今回届いたのはバディ・ホリーが生前遺した歌声に同楽団がストリングスをかぶせたもので、プロデューサーとしてクレジットされているのは彼の未亡人であるマリア・エレナ・ホリー(まだご存命とはっ!)。1959年の2月に飛行機事故で亡くなる直前のホリーは、それまでのロックンローラー的イメージからより幅広い音楽性を打ち出すことを模索した時期にあったようで、ストリングスをバックに歌うバラードも多く録音しており、そういった作品にオーバーダビングを行った録音には違和感はなく、ホリーのボーカルもリマスターされたクリアな音質で聴けるのでそれなりに楽しめるのだが、「Oh Boy」や「Rave On」といったアップテンポのナンバーは、こんなものにストリングを足して何の意味があるの??といった感じ。選曲をバラード系の作品に絞り、一枚のアルバムにまとめられたら彼のジェントルな側面に焦点を当てたユニークな企画盤になったかもしれないのに・・・と、少々残念でならない。



Track List

posted by yakame at 01:00| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Glen Campbell Sings for The King (Capitol/UMe)



ポピュラー音楽界で、現在のところもっとも華々しい“終活”を成し遂げたアーティストは、恐らくグレン・キャンベルなのだと思う。彼は2011年にアルツハイマーの発症を公表するとともにフェアウェル・ツアーを大々的に開催し、病状の進行を記録するドキュメンタリー映画も制作。アルバム『Adios(あばよ!)』『See You There(あの世で逢おう)』といった“遺作”を次々と発表し、それらは高いセールスと、各方面の賞を獲得する成果を挙げ、2017年に亡くなった彼の音楽人生の最晩年を飾っている。

本作のリリースのニュースを見たとき、僕は「まだこの手があったか!」と思った。彼の一周忌を記念してのエルヴィス・トリビュート盤なんてものまで生前に用意していたのだとしたら、この周到ぶりは尊敬に値するな、と。しかし、実際はそのような内容ではなかった。1967年に「Gentle On My Mind」でブレークする以前、キャンベルがトップ・セッション・ギタリストとして多忙な活動を行っていたことは有名だが、その傍ら様々なアーティストに提供される作品のデモ・シンガーまで務めていたというのだから驚き。本CDはソングライターコンビ、ベン・ワイズマンとシド・ウェインがエルヴィス・プレスリーに作品を提供するために制作されたデモ録音集で、キャンベルがそのすべてのボーカルを担当している。

本CD収録の作品が録音された1965年〜66年のエルヴィスは、悪名高き“エルヴィス映画”を活動のメインとしていた時期で、年に何本も制作されるどれも似たり寄ったりのプログラム・ピクチャーのために大量のサントラ収録曲が必要とされており、ハリウッドのソングライターたちは挙ってこのような見本盤を量産していたのだろう。キャンベルもかなりエルヴィスを意識したボーカルで雇用主の要求に応えており(微笑ましい・・)何曲かはヒットチャート入りも果たしたこれら作品の知られざる裏側が明らかになったという点で、このCDの登場は非常に意義深いものであるといえる。



Track List

posted by yakame at 00:00| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする