2018年08月13日

The Complete Columbia Singles 1963-1966 - Kenny Rankin (Sony Music Japan)



ケニー・ランキンが1960年代にコロンビア・レコードからリリースしたシングル音源を集めた日本独自企画のコンピレーション『The Complete Columbia Singles 1963-1966』が昨年アナログのみで発売されたときは、随分と悔しい思いをした。アナログ盤を再生する装置が我が家にはないので、それでも買うかどうか非常に悩んだが、我慢はしてみるものでこの度アナログ盤収録曲に彼がヨーロッパ各国で録音した音源を追加したまさしく“コンプリート版”がCDで入手できることとなった。

ケニー・ランキンの活動歴は古く、1950年代後半には既にレコードデビューを果たしており、成功の糸口を探していたところにコロンビア所属の大スター、ディオンと知己を得、彼のプロデュースで64年に同社からのファーストシングル「Baby Goodbye」がリリースされた。ディオンのバックを務めるコーラスグループ、ザ・ワンダラーズも参加した同曲は当時のディオンの作風というよりも、その数年後彼がリリースする「Abraham, Martin and John」あたりを彷彿させるアコースティックサウンドになっておりその点非常に興味深いが、残念ながらヒットには至らず。その後活躍の場をヨーロッパに求めて数か国語でレコーディングを行ったり、セッションギタリストとしてディランの重要作『Bring It All Back Home』に参加したりと紆余曲折の末「In The Name of Love」がペギー・リーに、「Haven't We Met」がカーメン・マクレーに取り上げられ、ようやくシンガーソングライターとして注目を集めるきっかけをつかめるか・・?という試行錯誤の時期の作品が本CDには収められている。

そんな時期の録音なので後年の彼の洗練された作風とはかなり異なるものが多いが、R&Rからフォーク調、フレンチポップまで、彼の美声で歌われる作品はそれぞれ楽しめる。外国語(ドイツ、フランス、イタリア)で録音された作品もなかなかいいムードで、才能ある人は何をやってもそれなりに出来てしまうのだな(その方向が正しいかは別として・・)と聴きながら思った。何かのはずみでこれらが成功していたら現在我々が知るケニー・ランキンの名作の数々は存在しなかった可能性が高い訳で、そういった意味でも興味深い作品集となっている。



Track List

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Haven't We Met? - Carmen McRae (Bethlehem/Ultra Vybe)

Haven't We Met? - Carmen McRae

カーメン・マクレーが1965年にベツレヘムからリリースしたアルバム。古くからのスタンダードナンバーと60年代に入って作られた作品が混在した内容となっており、中でも注目すべきはまだ駆け出しのシンガーソングライターだったケニー・ランキン作のアルバムタイトル曲だろう。全編のアレンジをこの数年後にウェス・モンゴメリーの諸作を手がげ彼を大成功に導くドン・セベスキーが担当しており、流麗なストリングスやホーンセクションを用いて作品を大いに盛り上げている。


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In Heat - The Dee Felice Trio (Bethlehem/Ultra Vybe)



おそらく1,000円CD化されなかったら出会うことはなかったであろうアルバム。1960年代後半にオハイオ州シンシナティで活動していたジャズコンボ、ディー・フェリス・トリオは、当時ジャズアルバムの制作を計画していた同郷の大物ジェイムス・ブラウンの目に留まり、1969年にリリースされた彼のアルバム『Gettin' Down to It』のバックを務めるという大役に抜擢される。同作の好評を受けて今度はトリオの単独作として同年にベツレヘム・レーベルから「ジェイムス・ブラウン・プロダクション」の冠付きでリリースされたのが本作(彼らにとって唯一のアルバム)で、JB関連の作品は結構マメにチェックしているつもりだった僕も、このアルバムは知らなかった・・。

内容はJB流のファンキーなインストというよりは、かなりスタイリッシュなジャズボサが中心となっており、90年代以降のクラブジャズシーンで重宝されたという話もうなづける。


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