2008年02月07日

服部良一1934-1954:未復刻傑作選集(Bridge/Columbia Music Entertainment)

服部良一1934-1954:未復刻傑作選集

 2007年は服部良一生誕100周年で、これを機会に氏の膨大な作品群がCD化されて再評価の気運が高まるのでは・・なんてことを期待していたのだが、CDに関しては過去に発売されていたコンピレーションの再プレスがせいぜい、後は変なトリビュート・アルバムが出たくらいで、随分と期待はずれなまま年が明けてしまった。

 このところ戦前〜戦後の貴重なSP音源を立て続けに復刻してくれている「ブリッジ」から2008年に入ってリリースされたのは、服部良一作品の中でもオリジナル・リリース以来復刻がされていなかったレアな作品ばかりを集めたコンピレーション。こういうものを待っていたのです。内容はコロムビア・レコードと専属契約を結ぶ以前の録音(すごい!)からコロムビアの戦前作品、CD監修の瀬川昌久先生がいたくお気に入りの服部シスターズやコロムビア・リズム・ボーイズ、リズム・シスターズらによるポップス色の強い録音、服部がアレンジに精を出した洋楽のカバー録音までの全36曲。

 まずはこれだけの貴重な録音を収集し、CD化してくれたことを感謝したい。印象的な作品としては服部シスターズのバタ臭く色っぽいポップスに、この数年後浜口庫之助が世に送り出すスリー・キャッツのルーツのようなものが見て取れたり、出身地である大阪の情緒とジャズを融合させた「道頓堀行進曲」「大阪娘」といった作品はそのまま笠置シヅ子の世界に通じるものを感じるし、あとは外国曲のアレンジメントに窺える当時の最新情報の取り入れに対する意欲とか。昭和16年録音の「青空行けば(ジングル・ベル)」は、アメリカでもこの曲がスタンダードとなる以前の録音なのだとか。

 こういうCDが日本でも出せるのだな。というのが一番の感想。昨今映画テレビの世界では「昭和」がブームなのだそうで、これに乗じてメジャー・レーベルもキワモノ狙いばかりでない昭和歌謡のコンピレーションを多数出してくれたらいいのに、と切に願うばかり。
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栄冠は君に輝く:古関裕而大全集(Columbia Music Entertainment)

栄冠は君に輝く:古関裕而大全集

 普段買い慣れないジャンルのCDを購入するとき、CDショップでそれが一体何処に置いてあるのかわからなくて難儀することがある。例えば家族に「韓流のCDを買って来い」と言われて店内で右往左往したり・・。最近苦労したのはこの「古関裕而大全集」で、演歌コーナーにもJ-POPコーナーにも見当たらない。隅から隅まで探して、ようやく見つかったこのCDは、なんと「スポーツ・コーナー」に置いてあった。。

 昭和の歌謡界を代表する作曲家の一人、古関裕而のイメージは一言【プロフェッショナル】。有名な話だがタイガースの「六甲おろし」もジャイアンツの「闘魂こめて」も、早稲田の「紫紺の空」も慶応の「我ぞ覇者」も、みんなこの人が作曲しているのだ(このコレクションには収録されていないが「ドラゴンズの歌」の作曲も彼である)。国威発揚でも商品の購買意欲でも、ご要望あれば何でも対応します、といった感じ。

 彼の数多い作品から厳選されたこの2枚組の1枚目は、様々な応援歌やテーマ曲を収録。現在でもNHKのスポーツ番組で必ずかかるあのテーマや、高校野球の「栄冠は君に輝く」、うちの近所のスーパーでは未だにこの曲で閉店を知らせているユージン・コスマン楽団名義の「別れのワルツ(蛍の光)」など【日本の日常生活のBGM】と化している作品が次々登場。一つ注文をつければ、再録が多すぎるのが難点だが、応援歌やテーマ曲にオリジナル録音も何もないか。

 2枚目のCDには音丸の戦前録音「船頭可愛や」にはじまり、「愛国の花」「暁に祈る」といった戦時歌謡、「フランチェスカの鐘」「君の名は」など戦後歌謡までの代表作品20曲を収録。個人的には戦時歌謡の持つ悲壮感は苦手で、やはり「夢淡き東京」「高原列車は行く」といった朗らかな曲調の作品が聴いていて楽しい。ただ、板起こしらしき音質には不満があるが・・。

 服部良一と比較して、この人の持つ「バタ臭さ」はちょっと異質なものがある。クラシック教育の賜物なのか、それとも他の要因か。非常に独特な“和製エキゾチック・サウンド”路線の「イヨマンテの夜」「黒百合の歌」などは、服部には表現し得ない世界ではないかと思う。

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