
2007年は服部良一生誕100周年で、これを機会に氏の膨大な作品群がCD化されて再評価の気運が高まるのでは・・なんてことを期待していたのだが、CDに関しては過去に発売されていたコンピレーションの再プレスがせいぜい、後は変なトリビュート・アルバムが出たくらいで、随分と期待はずれなまま年が明けてしまった。
このところ戦前〜戦後の貴重なSP音源を立て続けに復刻してくれている「ブリッジ」から2008年に入ってリリースされたのは、服部良一作品の中でもオリジナル・リリース以来復刻がされていなかったレアな作品ばかりを集めたコンピレーション。こういうものを待っていたのです。内容はコロムビア・レコードと専属契約を結ぶ以前の録音(すごい!)からコロムビアの戦前作品、CD監修の瀬川昌久先生がいたくお気に入りの服部シスターズやコロムビア・リズム・ボーイズ、リズム・シスターズらによるポップス色の強い録音、服部がアレンジに精を出した洋楽のカバー録音までの全36曲。
まずはこれだけの貴重な録音を収集し、CD化してくれたことを感謝したい。印象的な作品としては服部シスターズのバタ臭く色っぽいポップスに、この数年後浜口庫之助が世に送り出すスリー・キャッツのルーツのようなものが見て取れたり、出身地である大阪の情緒とジャズを融合させた「道頓堀行進曲」「大阪娘」といった作品はそのまま笠置シヅ子の世界に通じるものを感じるし、あとは外国曲のアレンジメントに窺える当時の最新情報の取り入れに対する意欲とか。昭和16年録音の「青空行けば(ジングル・ベル)」は、アメリカでもこの曲がスタンダードとなる以前の録音なのだとか。
こういうCDが日本でも出せるのだな。というのが一番の感想。昨今映画やテレビの世界では「昭和」がブームなのだそうで、これに乗じてメジャー・レーベルもキワモノ狙いばかりでない昭和歌謡のコンピレーションを多数出してくれたらいいのに、と切に願うばかり。


