収録曲の年代は1957年の初ヒット「Wonderful! Wonderful!」から83年の「Simple」まで。名唱だらけの50年代、時代のポップ・サウンドを取り入れた60年代、R&Bサウンドに挑戦した70年代と作風も幅広い。中でも興味を惹かれるのが70年代の録音で、イギリスにおけるスタイリスティックス人気に便乗する形で大ヒットした「I'm Stone in Love with You」やナンバー1ヒット「When A Child Is Born」「Too Much, Too Little, Too Late」、プログレッシブR&Bの「Life Is A Song Worth Singing」など、時流にのった彼の頑張りぶりはかなりの聴きもの、中でも79年の「Gone Gone Gone」のディスコ・サウンドは、ほとんど「マツケンサンバ」的悪ノリの域(本人は忘れたい過去かもしれないが・・)。
“世界で最も優れたオールディーズ・コンピ”「The Golden Age of American Rock 'N' Roll」シリーズはこのところジャンルなどのテーマを絞ったリリースが続いているが、今回のテーマは特にユニーク。なんと「2発目ヒット特集」なんだって。
世の中に【一発屋】と呼ばれるアーティストは数多く、というか1曲でもヒットチャートに痕跡を残せたアーティストはむしろラッキーだとは思うのだが、その【一発】後に再びチャートに登場し、この曲のお陰で【一発屋】の汚名を返上出来た、という曲ばかりが集められたもの。言い方を変えれば「二番煎じヒット」とでもなるか、代表的なものだとダニー&ジュニアズの「At The Hop」に続く「Rock and Roll Is Here to Stay」みたいな、そんなHOT100ヒットが全30曲収められている。
Magic Wind - Don & Juan ('60 #91) Oh What A Fool - The Impalas ('59 #86) The Age for Love - Jimmy Charles (60 #47) The Girl with The Story in Her Eyes - The Safaris ('60 #85) Fire of Love - Jody Reynolds ('58 #66) I'll Take You Home - The Corsairs ('62 #62)
など、最初のヒットのインパクトがあまりにも強く、現在では殆ど振り返られることのないマイナー・ヒットが数多く収録されている。この手の曲はコンピレーションに収録されることも滅多にないので初CD化曲も多く、ヒットチャート・マニアにとっては有り難い限り。この「The Golden Age 〜」シリーズ、今年は更に数種類のリリースが早くもアナウンスされているので、どのような内容になるのか今から非常に楽しみである。
1929年生まれの彼が音楽シーンで頭角を現したのは1960年のこと。オースティン・テイラーが歌ったディオン・タイプの「Push Push('60 #90)」を皮切りに、当時流行りのR&Bとラテン・リズムを融合させた作風で「Twist and Shout」「Everybody Needs Somebody to Love」「Hang on Sloopy」といったヒット作を連発した、いってみればフィル・スペクターのライバル的存在のプロデューサー/ソングライターであった。
コレクションは1964年にイギリスに出向き、ルルと「Here Comes The Night」を制作したところで終わっているが、これに続く第2集ではこの渡英の際に出逢ったゼム、そしてそのボーカリストであったヴァン・モリソンとの共同作業や、彼が設立したレーベル「Bang」におけるニール・ダイアモンドやマッコイズといったアーティストのヒット曲など、1967年の大晦日に彼が急死するまでの作品が収録される模様。こちらの到着も楽しみに待ちたいところ。
今回マーク・リンゼイのソロ・アルバム3種が紙ジャケ化されたが、最初の2枚は以前2イン1の形でCD化済なので、ここでは3枚目にしてラストの「君の友達」をご紹介。リンゼイのソロ活動の基本路線は「カバー」で、当時ヒットしていたナンバー、シンガーソングライター系でいえばアルバムタイトル曲の「You've Got A Friend」や「It's Too Late」、カントリー系の「Help Me Make It Through The Night」「If You Could Read My Mind」、そしてジャクソン5の「Never Can Say Goodbye」までが、ある意味節操なく取り上げられている。
枚数を重ねるにつれ彼のアルバムは新鮮味を失い、このアルバムははっきり言って一番つまらない内容。しかも当時ヒットチャート入りした「Problem Child」「Are You Man Enough」といったヒット曲も漏れているので(ボーナスとして入れて欲しかった・・)評価のしようがない。コロンビア・レコードの「ヤング・アダルト路線」は73年に他社からニール・ダイアモンドを迎え入れ、彼が空前の成功を収めたことで決着したため、リンゼイやパケットの試みは歴史上「なかったこと」にされてしまうが、この内容では仕方がないか。リンゼイに関しては下の動画(70年の「Miss America」)など前の2作に聴くべき曲が多いので、まずはそちらを入手した上でこちらを聴くことをお勧めしたい。
ジョニー・リヴァースがインペリアル/ユナイテッド・アーティスツ在籍時に発表したアルバムを片っ端からCD化していくBGOの再発シリーズもこれが最後。「A Touch of Gold」は1969年にリリースされた彼にとって2枚目のベスト盤で、初期の疑似ライブ・スタイルからスタジオ制作に切り替えた時期のヒット曲を収録。アルバム的には66年の「Changes」から67年の「Rewind」、68年の「Realization」と、彼が最も冴えていた時期の作品群から曲が選ばれており「中期」ジョニー・リヴァースの名曲の数々をたっぷり楽しめる内容になっている。
ナンバー1ヒット「Poor Side of Town」をはじめ「Baby I Need Your Lovin'」「The Tracks of My Tears」「Summer Rain」といった大ヒットや、彼が才能を見出したと言っても過言でないジミー・ウェブが提供した「By The Time I Get to Phoenix」のオリジナル・バージョンなど、名曲がずらり。一方「WildNight」はリヴァースがユナイテッド・アーティスツに残した未発表録音を集めたコンピレーション(75年リリース)。録音時期は73〜75年にかけてで「契約消化」の印象が強いが、カバー曲を中心に相変わらずゴキゲンな演奏を聴かせてくれている。
イギリスの10人組ブラス・ロックバンド「ヘブン」が1971年に発表したファースト・アルバム「Brass Rock 1」。ギャグでもパロディでもない。シカゴやブラッド・スウェット&ティアーズらの成功ぶりを目の当たりにしたレコード会社は当時彼らを大プッシュ、アナログ盤のジャケットは裏表合わせて14面(!)に広がるというサンタナもビックリな仕様でリリースされたのだった。
最近ワーナー・ジャパンのサイト「Warner Music Life」の「輸入盤横丁」というコーナーでRhinoレーベルから発売されている輸入盤の紹介文を書かせてもらっていて。クレジットがないのでわかり辛いのだが、1960年代のポップスものは大体僕が書いているといっていいと思う。アーティストでいえばモンキーズとか、ビー・ジーズとか。それら辺を主に担当している。
残念ながら当時のリスナーは依然として彼に【ハーマン】のキャラクターを求めており、ライブ会場では新曲ではなく60年代のヒット曲を演奏することを盛んに要求され、それがバンドが短命に終わる要因となったという。ヌーンは82年にあと1枚「One of The Glory Boys」を発表した後にハーマンズ・ハーミッツを再編、ノスタルジーの世界に活路を見出す一方でTVや舞台で活躍していくこととなるので、このアルバムはオンタイムな音楽家としての彼の最後のトライアルが記録されている、と考えてもいいだろう。
これは昨年末に発行された「ローリングストーン(アメリカ版)」誌の「Yearbook 2007」にナンシー・シナトラが寄せた、この年亡くなったリー・ヘイゼルウッドへの追悼文の一節。ナンシーは1963年以降アメリカで何枚もの売れない(でも日本では大好評だった)シングルを発表した末、66年にヘイゼルウッドがプロデュースした「These Boots Are Made for Walkin'(にくい貴方)」でヒットチャートのトップに立ったのだった。
CDの中核を為すのは当時彼が発表した3枚のアルバム「The N.S.V.I.P.'s('64)」「Friday's Child('65)」「Love and Other Crimes('68)」。最初の2枚はシンプルなフォーク・ロック調で面白みはあまりなく、アルバムタイトル通り“Not So Very Important”な作品。「Love and 〜」はMGMに移籍した後ナンシーと共演するため再びリプリーズと契約した時期のアルバムで、こちらは我々のよく知るヘイゼルウッドの世界観が遺憾なく発揮された怪作(?)。カバー中心だが充分楽しめる内容になっている。
興味をそそられるのはむしろボーナス・トラックの方で、彼がリプリーズで手がけた様々なアーティストのレアなシングル曲を多数収録。一番メジャーなのはディーン・マーティンの息子ディノが結成したディノ、デシ&ビリー(ヘイゼルウッドは彼らを成功させたため会社から「だったらシナトラの娘もなんとかしろ。」と言われナンシーも手がけることになったのだとか)の2曲のヒット「Not The Lovin' Kind」「The Rebel Kind」で、それ以外は知られざる録音がずらり。ヘイゼルウッドにとって初めてのヒット、1956年の「The Fool」を歌ったサンフォード・クラークが60年代に吹き込んだフォーク・ロック調の作品(後にディーン・マーティンがヒットさせる「Houston」を含む)や、60年代前半に一時代を築いた“ギターマン”デュアン・エディの貴重なリプリーズ録音の収録も興味深い。因みにこの中の1曲「Guitar on My Mind」でボーカルを披露している彼の当時の妻ミリアムとは、70年代に「I'm Not Lisa」のヒットを放つジェシ・コルターその人である。
個人的に一番興味を惹かれたのは、ディーンの娘ディーナ・マーティンの「Baby I See You」だろうか。ナンシーほど蓮っ葉ではないが、陰のある感じがいい。それにしてもこのCD、肝心の「ナンシー&リー」の録音が1曲も収録されていないのは不満。噂によればライノはナンシーのボックス・セットも現在企画中だそうで、そこには是非「Complete Nancy & Lee Sessions」の収録を望みたいところ。マニアックすぎる願いか?それを祈念する意味で、動画は2人の共演「Summer Wine」を貼っておこう。