
以前も紹介したシカゴ郊外にある「渋谷宇田川町系」レコード・ショップ「Dusty Groove America」のサイトは、情報源としていつも活用させていただいているのだが、今年に入って同店はブランド・レーベルを立ち上げ、旧譜の復刻に取り組み始めている。先日届いたのはデルズが1972年にリリースした「Dionne Warwicke’s Greatest Hits」。はて?
このアルバム、早い話がデルズが歌うバカラック作品集で、実際のところはディオンヌ(当時彼女は一時的に改名していたのでWarwik”e”になっている)のヒットではない「Raindrops Keep Fallin’ on My Head」や「Close to You」なども取り上げられている点がややこしい。プロデュースはこの時期彼らのヒット曲の数々を手がけているチャールズ・ステップニーが担当しており、かなりドラマチックな仕上がり。当時のデルズは絶頂期といってもいい時期(この翌年に最高傑作とされる「Give Your Baby A Standing Ovation」を発表する)なのだがR&Bマーケット向きではなかったのか、それとも純粋にアルバム・タイトルが悪かったのかこの作品はR&Bチャートで最高32位、ポップ・チャートでは162位と振るわなかった。
とはいえ内容的に決して物足りない訳ではないので、バカラック・マニアは勿論スウィート・ソウル系のファンにもご満足いただける一枚だと思う。
もう1枚は何ヶ月か前に出されていたチャカチャスのアルバム。1972年に「Jungle Fever(POP8位/R&B11位)」を一発ヒットさせたことで知られるグループだが、実は本拠地ベルギーにおける彼らのキャリアは結構古く結成は1950年代後半、62年にはレス・チャカチャス名義で「Twist Twist」をUKチャートに送り込んでいる(最高48位)というベテラン。70年代のチャカチャスはこの「レス・チャカチャス」のコア・メンバーにスタジオ・ミュージシャンが加わった編成だった模様。「Jungle Fever」は延々と続くギターのリフと女性の喘ぎ声をフィーチャーした“ポルノ・グルーヴ”な一曲で、アルバムもその手のヤバめな曲満載を期待して聴いたのだが意外にも他の曲はぬるーいサルサ風の演奏ばかり。恐らく「通常営業」の彼らはこんな感じの音楽をやっていたのだろう(因みに「Jungle Fever」がアメリカでヒットした際は、まったく別人のラテン・バンドが「チャカチャス」としてツアーに回ったそう)。
ゆるーいラテン音楽をBGMと割り切って聴く分には、このアルバムも悪くはないかもしれないが「Jungle Fever」のノリを期待すると相当肩透かし感を味わう内容。


