2007年12月07日

Karen Wyman (Decca/Universal)
Anita Kerr presents Teresa (Dot/Universal)

Karen Wyman Anita Kerr presents Teresa

 【フィンガー・スナッピン・ミュージック】シリーズから2枚をご紹介。まずはブロンクス出身の女性シンガー、カレン・ワイマンが17歳のときにリリースしたデビュー作(1970年発表)で、当時のポップ/ロック系のヒット曲をあれこれ取り上げたカバー・アルバムになっている。

 彼女は朗々と歌い上げるタイプのシンガーで、ガールポップ好きには“萌え”どころに欠けるきらいはあるが、抜群の声量で何の迷いもなく真っ直ぐに届けられる歌の数々は一言「若いって素晴らしい」。

 聴きどころはまずシカゴの「ぼくらに微笑みを」と「一体現実を把握している者はいるだろうか?」をダイナミックに歌いこなしたバージョンと、ローラ・ニーロの「Save The Country」「California Shoe Shine Boy」あたり。ビートルズ・ナンバーはまずまず、ラスカルズの「How Can I Be Sure」はあまりにも堂々と歌いすぎてオリジナルの儚げなイメージを少々損なっている印象も。これも若さ故。

 この後何作かのアルバムを発表しながら71年に「Beautiful」をイージーリスニング・チャートで小ヒットさせただけに終わった彼女の、若き日の才能の輝きを記録した1枚。

 もう1枚はイージーリスニング界の大姉御、アニタ・カーがその才能に惚れ込み、デビューのため一肌脱いだ1969年当時19歳のシンガーソングライター、テレサ・ベネット。

 彼女のデビュー・アルバムはオリジナルとカバーが半々の内容で、カバーではクラシックス・フォーの「Spooky」と「Traces」、ファースト・エディションの「But You Know I Love You」あたりが気になる。アニタ・カー関連ということでどうしてもこの手のカバーものに注意が向きがちだが、恐らくこの作品で強調したかったのは、彼女のソングライティング能力の方だったのだろう。

 当時の女性シンガーソングラターの中では陰影の少ないタイプの彼女の作品は非常に聴きやすく「Image」「Strange」「On My Own」といった曲からその非凡なセンスを窺い知ることが出来る。一部大袈裟なアレンジが施され彼女の繊細な持ち味が損なわれているものもあるが、イージーリスニング系を聴き漁る【グルーヴ追究派】ばかりでなく、シンガーソングライター・マニアにも注目してほしい作品である。
posted by yakame at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Marlene Dietrich with The Burt Bacharach Orchestra (bureau b)

Marlene Dietrich with The Burt Bacharach Orchestra

 1957年、往年の大女優マレーネ・ディートリッヒと駆け出しの“イケメン”ソングライター、バート・バカラックが出逢ったのはディートリッヒ57歳、バカラック30歳のとき。ディートリッヒのワールド・ツアーのバンマスとして雇われたバカラックは、当時既に「伝説」といっていい存在だった彼女を徹底的にしごき、決して技巧派とはいえない彼女にステージ栄えする歌を教え込んだ。

Marlene Dietrich & Burt Bacharach このCDは当時(50年代末〜60年代前半)残されたスタジオやライブにおける録音から2人の共演をセレクトしたもの。第2次大戦時に連合軍、枢軸国(ドイツ)軍ともに愛された「Lili Marleen」を引っさげて各国を回った彼女は熱狂的に迎えられ、その歌声は冷戦下の東西ヨーロッパの壁を越えて南米大陸にまで届き、ナチス台頭のため一度は決別した故国ドイツにも、当時ドイツ語の歌はタブーとされていたイスラエルにも受け入れられたという。

 収録されている曲はスタンダード・ナンバーから映画テーマ曲、シャンソンやドイツ語のナンバー、当時最新のヒット曲までと幅広い。最大の聴きものは1965年、コンビ解消後人気ソングライターとして地位を確立したバカラックを誇らしげにステージに呼び込み、彼のピアノを伴奏に歌われる「Fall in Love Again(彼女の出世作「嘆きの天使」主題歌)」か。ディートリッヒにとってもバカラックにとっても決してベストの部類の作品集ではないが、ポップス史の貴重なドキュメントであることは間違いない。
posted by yakame at 00:00| Comment(0) | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする