
【フィンガー・スナッピン・ミュージック】シリーズから2枚をご紹介。まずはブロンクス出身の女性シンガー、カレン・ワイマンが17歳のときにリリースしたデビュー作(1970年発表)で、当時のポップ/ロック系のヒット曲をあれこれ取り上げたカバー・アルバムになっている。
彼女は朗々と歌い上げるタイプのシンガーで、ガールポップ好きには“萌え”どころに欠けるきらいはあるが、抜群の声量で何の迷いもなく真っ直ぐに届けられる歌の数々は一言「若いって素晴らしい」。
聴きどころはまずシカゴの「ぼくらに微笑みを」と「一体現実を把握している者はいるだろうか?」をダイナミックに歌いこなしたバージョンと、ローラ・ニーロの「Save The Country」「California Shoe Shine Boy」あたり。ビートルズ・ナンバーはまずまず、ラスカルズの「How Can I Be Sure」はあまりにも堂々と歌いすぎてオリジナルの儚げなイメージを少々損なっている印象も。これも若さ故。
この後何作かのアルバムを発表しながら71年に「Beautiful」をイージーリスニング・チャートで小ヒットさせただけに終わった彼女の、若き日の才能の輝きを記録した1枚。
もう1枚はイージーリスニング界の大姉御、アニタ・カーがその才能に惚れ込み、デビューのため一肌脱いだ1969年当時19歳のシンガーソングライター、テレサ・ベネット。
彼女のデビュー・アルバムはオリジナルとカバーが半々の内容で、カバーではクラシックス・フォーの「Spooky」と「Traces」、ファースト・エディションの「But You Know I Love You」あたりが気になる。アニタ・カー関連ということでどうしてもこの手のカバーものに注意が向きがちだが、恐らくこの作品で強調したかったのは、彼女のソングライティング能力の方だったのだろう。
当時の女性シンガーソングラターの中では陰影の少ないタイプの彼女の作品は非常に聴きやすく「Image」「Strange」「On My Own」といった曲からその非凡なセンスを窺い知ることが出来る。一部大袈裟なアレンジが施され彼女の繊細な持ち味が損なわれているものもあるが、イージーリスニング系を聴き漁る【グルーヴ追究派】ばかりでなく、シンガーソングライター・マニアにも注目してほしい作品である。


