
発表から50年以上が経過した音源を大量に集めて、安価で
ボックス化する
レーベルがヨーロッパにはいくつかあるが、その中でも代表的なのが「JSP」と「Proper」。両社から立て続けにボックスが届いたので、まとめてご紹介。
まず1つ目は
ナッシュビルの偉人
チェット・
アトキンスの若き日(録音時期:1946〜1956年)の活動を記録した5枚組158曲。彼はプロデューサーとして多くの
アーティストを手がけてもいるが、このボックスは
プレーヤーとしての彼の活躍に焦点を当てた内容となっており、いずれの曲も彼の
ギターかボーカルがフィーチャーされている。彼が初めて
エレクトリック・ギターを手にしたのは1947年の11月だそうで、それから10年間の彼のプレイや
サウンドの変遷を知ることが出来る。彼が手がけた他のアーティストの作品(エルヴィスなども含め)も合わせて収録されていれば、これは立派な「ナッシュビル・サウンドの歴史」になったのだと思うが、アトキンス名義の作品だけだとちょっと・・。ヒット曲も1955年の「Mister Sandman」と「Silver Bell」の2曲だけだし。ただただボリュームに圧倒されてしまう。これはしばらく寝かせて、今後の研究課題にとっておくことになりそう。。
続いてはミッチ・ミラー。彼は「ミッチと歌おう」でお馴染みの「ミッチ・ミラー合唱団」のリーダーである一方、コロンビア・レコードを牛耳るレコード・ディレクターでもあり、この4枚組ボックス(全105曲)は1950〜56年までの同社における彼の八面六臂の活躍ぶりを捉えている。収録アーティストにはフランキー・レイン、ガイ・ミッチェル、ジョニー・レイ、フォー・ラッズ、ローズマリー・クルーニー、ジョニー・マティス・・・と、当時の人気者がずらり。あまりCDで見かけることのないミッチ・ミラー合唱団初期のヒット曲の大半を収録しているのも嬉しい。
ヒット曲を嗅ぎ分ける類いまれな嗅覚の持ち主だった一方で、ミラーは手がけるアーティストにあまり敬意を払わないタイプの人だったようで、当時「峠を越えた元アイドル」的存在だったフランク・シナトラに「Bim, Bam, Baby」なんてまったく内容のない曲を与えたり(結局こういった問題がこじれてシナトラはキャピトルに移籍し、そこで大復活を遂げる)、あのマレーネ・ディートリッヒにローズマリー・クルーニーと組んでノベルティ調の「Too Old to Cut The Mustard」を歌わせたり(この曲は彼女にとって唯一の全米ヒットとして記録に残ってしまった)と、酷い録音も多々残っているのだが、それらもひっくるめて1950年代メインストリームのポップ・ミュージックをたっぷり楽しめる。また実際にはミラーが手がけていない作品、彼の後任ディレクターであるパーシー・フェイスや、西海岸で彼に代わる役割を果たしたポール・ウェストンらが制作した作品も収録されており、非常に内容の濃い【コロンビア・レコード物語】になっている。
最後は「Proper」社の4枚組ボックス・セット、こちらのテーマは「R&Rは如何にイギリス上陸を果たしたか」。アメリカ同様、イギリスのポップ・シーンにR&R/R&Bの影響が見られるようになるのは1953年あたりからのようで、当地のポップ・シンガーたちによるカバー曲に始まり、1956年にイギリス初のR&Rシンガーとしてトミー・スティールがデビューするまでの音楽の流れを、様々な角度から紹介する意欲的な内容の全100曲。
50年代前半のポップ・ミュージックと、同じ頃アメリカの音楽の影響を受けて草の根的に盛り上がったスキッフル・シーンから浮上したロニー・ドネガンやクリス・バーバー、一時期都内の輸入レコード屋でちょっとした評判になったレイ・エリントン楽団のようなジャンプ・バンドやラグタイム/ブギウギ調のピアノで人気を博したウィニフレッド・アトウェルなど、個々別々には聴いているけどこうやって時間の横軸で切り取ってみると、何となく時代の動きがわかってきて面白い。
このようなムーブメントの更に底辺に、後のビートルズやローリング・ストーンズがいるのだと思うと非常に興味深く聴けるのではないだろうか。
posted by yakame at 00:00|
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