
プロデューサー・コンビ、
ジェリー・リーバーとマイク・ストーラーの制作のもと、1950年代〜60年代にかけて
アトランティック・
レコードから数々のR&R
クラシックを生み出した
R&Bボーカルグループ「コースターズ」。リーバー&ストーラーが自らの
レーベル「レッド・バード/ブルー・
キャット」設立のため
独立した60年代前半以降はこれといったヒットを生むことが出来ず、結局アトランティックとの契約は66年に解除されてしまうが、折よく同じ頃リーバー&ストーラーもレッド・バード〜の契約が立ち行かなくなり(会社をマフィアに乗っ取られてしまったのだ)、外部プロデューサーとしての活動を再開するところで、両者は再び組んで翌67年にコロンビア傘下のレーベル「デイト」から何枚かの
シングルをリリースすることになる。今回はこの時期の貴重な録音が初CD化。

再会を果たした彼らはかつての成功の焼き直しを目指すのではなく、当時のアップ・トゥ・デイトなR&B
サウンドを意識したレコーディングを行ったようだ。結果生まれた作品はオールディーズ・ファンが抱く「コースターズ」のイメージとはかなりかけ離れたファンキーな作風になっており、正直いってあまり興味のそそられる内容ではない。唯一の例外がボードビル調のノスタルジックな小品「D.W. Washburn」で、この曲は翌年モンキーズに取り上げられ全米チャート19位まで上昇している。
結局この時期リリースされた3枚のシングルはいずれも不発に終わり、コースターズの名が再び音楽シーンに浮上することはなかったが話はこれで終わらない。セッションから数年を経た1971年、R&Rリバイバルの風潮の盛り上がりを察知したリーバー&ストーラーは「デイト」時代の録音を未発表曲含めすべて買い戻し、何曲かの新録を追加してキング・レコードからアルバム「On Broadway」をリリース(これが今回のCDの内容)。「D.W. Washburn」を含む8曲に加えられた新録の方は、これまで一貫してR&Bサウンドとラテン・リズムの融合で新しいポップスを生み出してきた彼ららしく「サルサ・ン・R&B」風に仕上げられており、「Cool Jerk」「On Broadway」「The In Crowd」といった古典曲に新たな生命を与えている。また68年のセッションを再利用した「Love Potion Number Nine」は72年に入ってシングルチャートの76位にランクインを果たしており、一応の成果を残す形となった。

ハードコアな音楽ファン限定ではあるが、リーバー&ストーラー研究家、そしてモンキーズ・マニアには大変気になるCDではないかと思う。そしてもう1組もドゥ・ワップもの。ドゥ・ワップといっても色々あるが、ここでは思い切り狭義に絞り込んでニューヨークで生まれた作品ばかりをコレクト。「ローカルな民俗芸能」としての側面にスポットを当てることで一つのムードを醸し出すことに成功している。
3枚のCDに収録されているのは1956年から1960年代半ばにかけての59曲。ペンギンズ(彼らはロサンゼルス出身)の「Earth Angel」やファイヴ・サテンズ(コネチカット出身)の「In The Still of The Nite」などといった基本ナンバーは勿論収録されておらず、それらの曲の成功に触発されてブロンクスやブルックリンの街角で歌い始めた(中にはフォー・シーズンズのようにニュージャージーから出てくる若者も)イタリア系やユダヤ系、ギリシャ系(?)の白人青年たちによって結成されたグループ(一部人種混成もあり)の録音ばかりを集めている。いわゆる「ドゥ・ワップ・リバイバル(60年代に入るとドゥ・ワップはR&Bチャートではまったく相手にされず、ポップ・チャートでのみ人気を博すようになる)」期に発表されたドリーミーな作品が多くお馴染みのナンバーが大半を占めるが、見事なまでの「ホワイト・ドゥ・ワップ」オンパレードで、これだけの曲数が揃うとなんだか圧巻。

この世界の「王者」といえばなんといってもディオンとベルモンツで、彼らの代表的なヒット何曲かに加え、何故か今頃になって出てきたディオン1956年の初レコーディング「Rooftop Serenade」も収録!凄いね、ある意味エルヴィスの「My Happiness」みたいなものだから。マニアはこの1曲のために、このボックスを入手しないといけない・・。アセテート起こしで音はザラザラだが、既に彼らしい雰囲気を充分醸し出すバラードに仕上がっており、やはりこれは持っておかねば・・。
一言でいえば「オールディーズの粋の粋」、中にはこういう音楽しか「オールディーズ」と認めないマニアすら存在するという超ハードコア、かつ超ポップな1箱。やはりこれは、持っておかねば・・。
posted by yakame at 01:00|
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