
次から次へと珍しいアルバムをCD化してくれるコレクターズ・チョイス・ミュージック。今回も普通の発想ではちょっと思いつかないようなアルバムをリリースしてきた。
まずはリベラーチェ。ラウンジ系の高名なピアニスト、というより元祖「おねえMANキャラ」で知られる彼は、没後20年を迎えようという現在もなお、ラスヴェガスではエルヴィスと並ぶ名物的存在。恐らくリトル・リチャードも、エルトン・ジョンもこれまでに何千回と「R&R版リベラーチェ」と称されたであろうくらい「その業界」の先駆者なのだ。生前の彼は数えきれない枚数のアルバムを残しており、今回CD化されたのはそのキャリアの後期にあたる1969年にワーナー・ブラザーズからリリースした「A Brand New Me」。アルバムタイトル曲から察せられる通り当時の最新ヒットを彼のやたら装飾の多いピアノ演奏でカバーしてみせたもので、ソフトロック的な見地からも楽しめる選曲になっている。中でも面白いのがビリー・ジョー・ロイヤルの「Cherry Hill Park」とリチャード・ハリスの「McArthur Park」、キース・バーバーの「Echo Park」を並べた「公園メドレー」で、よくもこんなバカバカしいアイディアを思いつくものだと思う。各曲の「つなぎ」は結構上手くいっているとは思うけど。
他にメドレーではニール・ダイアモンドの「Holly, Holly」と「Sweet Caroline」を合わせたもの、あとこれはメドレーではないがCSNの「青い瞳のジュディ」をインストでやってしまうのも、結構凄い発想(正直いってあまり意味がない)。“単品”では如何にも「エレベーターのBGM」なアレンジのB.J.トーマス「雨にぬれても」、クラシックス・フォーの「トレイセス」あたりが楽しい。
2枚目はやはりエンタメ界の人気者、トリニ・ロペスが1969年に発表したアルバム「The Whole Enchilada(あるものすべて)」。彼の人気が下り坂にあった時期の作品なので、初期の勢いは感じられないのだが、これはこれでまずまず楽しめるアルバム。
プロデュースを担当しているのはトミー・ボイス&ボビー・ハートで、彼らの作品が4曲収録されているのもポイント。「I Wonder What She's Doing Tonite」「Come A Little Bit Closer」「My Baby Loves Sad Songs」どれも悪くはないのだが、サウンドが当時としても相当チープで、もうちょっと工夫があってよかったのかも。
その他カバー曲では超クールなマーヴィン・ゲイの「悲しい噂」がネタとしては最高、あとドノヴァンの怪し気な「Lalena」あたりも聴きどころか。トリニ・ロペスファンよりも、ボイス&ハート〜モンキーズ近辺の音源を一生懸命集めているタイプの音楽ファンによりアピールする内容かもしれない。
最後3枚目はボー・ブラメルズが1975年に一瞬だけ再結成して残したアルバム。この時期のアメリカは何故か回顧調の音楽が流行っていて、「アメリカン・グラフィティ」がヒットしたり、ビーチ・ボーイズが復活したり、カーペンターズが「ナウ&ゼン」を発表したり・・と、60年代の音楽が再び注目される空気があったように思われるのだが、そんな中で彼らも「もう一回やってみない?」と声がかかったのかもしれない。
で、肝心の内容だが、意外なことにこれが相当いい。僕たちの好きな「ボー・ブラメルズ」の音楽がここにはある。勿論アルバム「Triangle」のような華美な世界は存在しないが「Bradley's Barn」を愛聴している人であれば、これは是非とも入手すべきアルバムだろう。「You Tell Me Why」のリメイク以下、収録曲すべてがロン・エリオットの手による、というのも嬉しい。ちょうどこれと同じ頃、かつてレーベルメイトであったハーパース・ビザールもテッド・テンプルマン抜きで再結成し、アルバム「As Time Goes By」を発表しているが、あのアルバムが意外なことに60年代のハーパースの面影を色濃く残した佳作だったのと同様、このアルバムもハーバンク・サウンドのファンであれば手許に置いておきたい1枚。お薦めします。他にもこの当時いろいろ出ていたであろう「再結成もの」アルバムの存在が気になってきた・・。

