
ボブ・リンドが1966年に放った「Elusive Butterfly(『夢の蝶々』米5位/英5位)」というヒットがある。一般に知名度は高くないが、オールディーズファン、とりわけフォーク・ロックサウンドをこよなく愛する音楽ファンにとってはこの時代有数の名曲であるといっても過言ではないこの曲他、彼がワールド・パシフィックから66〜67年にかけて発表した作品群は、残念ながら「Elusive 〜」のような奇跡的な名曲こそ二度と生まれることはなかったものの、非常に繊細で、味わい深いものが多い。「Elusive 〜」は彼にとって唯一のTOP40ヒットとなり、基本的にこの曲以外で振り返られることのないリンドが、その後71年にキャピトルから発表していた非常にレアなアルバムがCD化された。ワールド・パシフィック時代もプロデュースはジャック・ニッチェ、参加ミュージシャンは西海岸名うてのセッション・メンたちという鉄壁の布陣でレコーディングが行われていたが、今回の「Since There Were Circles」にもキャロル・ケイやポール・ハンフリーといった「スタジオの鉄人」に加え、ダグ・ディラード、ジーン・クラーク、バーニー・リードンらカントリー・ロック界の要人たちが顔を揃えて作品を盛り上げている。アルバム前半はカントリー・ロック色が強く、リンドも力強いボーカルを聴かせておりこれはこれで聴き応えがあるが、かつての彼の繊細な作風を期待するのであれば、アルバム後半の方がより満足いただけるだろう。ストリングスが大胆に導入された組曲風の構成は、初期の彼の世界がより深く掘り下げられた印象。
ボブ・リンドが最初の作品だけで才能を枯渇させることなく、その後も立派な内容のアルバムを発表していたことがわかり、何となく嬉しい気分にさせられる1枚。その後彼は音楽シーンから引退し、作家として成功を収めたそうだが、近年は演奏活動を再開、時折ライブを行っているようだ。かつてのレパートリーを再録音したCDも制作、これは現在彼のウェブサイトを通じて販売されている。
もう1枚の方は、この「〜 Circles」にボーナスとして収録されている何曲かの録音のプロデューサーを務めているジミー(ジェイムス)ボンドの珍しいリーダー作。彼はワールド・パシフィックの前身「パシフィック・ジャズ」でチェット・ベイカーらが生み出したウェストコースト・ジャズの名盤に参加したことで名を挙げたベーシストで、60年代に入るとセッション・ミュージシャンに転じ、フィル・スペクターからフランク・ザッパまで様々な作品にその名がクレジットされている。ワールド・パシフィックにも継続的に関わりを持ち続けていたようで初期のボブ・リンド作品にも参加している可能性は高く、67年にリリースされた映画「欲望」などで知られる俳優デヴィッド・ヘミングスがバーズのメンバーたちとドラッグでヘロヘロになって録音した珍盤「David Hemmings Happens」にもその名前が見られる。
ボンドがその名前にかこつけて65年にリリースしていたのが「The James Bond Songbook」。その名の通り007映画のテーマ曲集となっておりCDの冒頭から「James Bond Theme」で始まるが、ここで注目したいのは1965年というこのアルバムの発表時期。当時映画シリーズはまだ4作目の「Thunderball」までしか公開されておらず、ジョン・バリーなどにより作曲された有名なテーマのカバーは5曲のみ。残る7曲「Casino Royale」「The Man With The Golden Gun」「Moonraker」「For Your Eyes Only」「Live And Let Die」「Diamonds Are Forever」「You Only Live Twice」と、現在馴染み深いタイトルのナンバーはいずれも原作の小説をヒントにこの時点でボンドが勝手に作ったもの。ジョン・バリーより先にこれだけ「ボンドのテーマ」を作ってしまった人も他にいないと思うが、その演奏はウェストコースト・ジャズ風でなかなかいい感じ。「007」のイメージとは少々そぐわない気がするが「パシフィック・ジャズ」の亜流アルバムとして、その筋のファンには興味深い作品ではないかと思う。
なおこのCDは以前紹介した チェット・ベイカーの「The Mariachi Brass!」同様英エイス・レコードの系列レーベル「BGP」から「The BGP Sound Library」シリーズとしてリリースされており、同シリーズからは他にR&B系アーティスト、マクスウェル・デイヴィスが66年に録音した「Batman and Other Themes」も出ている。ユニークなイージーリスニング作品を廉価でリリースしてくれるシリーズとして、今後の作品にも注目したい。























先日ジョアン・ジルベルトの来日公演を有楽町に観に行った。3年前の初来日時には開演時間になってもアーティストがまだホテルにいたとか、1時間遅れでようやく演奏が始まったと思ったら、途中舞台の上で30分くらいまったく身動きせずフリーズ状態を続けるなど「さすがブラジル人は時間感覚が違う。」と大変なカルチャー・

続いてCD後半(13曲目以降)はその前年に録音された「The Music of Mr. Jobin by Sylvia Telles」または「Sylvia Telles Sings The Wonderful Songs of Antonio Carlos Jobin」。その名の通りジョビン作品集(何故か「And Roses And Roses」のみドリヴァル・カイミ作)で、ボサ・クラシックが続々。アストラッド・ジルベルトなどと比較して彼女の歌は深みがあり、やや拙い印象の英語の発声を補って余りある。オーケストラ・





第4弾「栄光のコロンビアジャズミュージシャン」は、当時のジャズ・シーンで活躍した名手たちの演奏に焦点を当てたもの。この後のシリーズで特集される服部良一のアレンジが冴える「The Music Goes Round and Round」に続いて登場し、このCD最大の存在感を誇っているのはトランぺッター南里文雄。上海のジャズ・シーンで活躍していた彼をわざわざ日本に呼び寄せ録音したトランペット・ソロ2曲及び淡谷のり子と共演した「私のトランペット」は貴重。南里のソロ曲の相手を務め、自らのリーダー録音もここに収録されているギタリスト角田孝の録音も、これまで日本の戦前のジャズをミュージシャン単位で考えたことがなかった僕には非常に新鮮であった。


もう1枚併せての紹介は、この年にも「Chinatown, My Chinatown」「I Didn't Raise My Boy to Be A Soldier」「My Birds of Paradise」が1位を記録している「クァルテット(四重唱)もの」コンピ。「
続いて登場アメリカン・クァルテットは、恐らくアメリカ音楽産業最初の「スーパー・グループ」といえるユニット。後期ハイドン・クァルテットのメンバーでもあるビリー・マレイ(ソロ名義だけでも169曲のヒットを残している)を中心に編成されており、1910年から17年にかけて12曲のナンバー1ヒットを放った。このCDではそのうち8曲を聴くことができ、ソロとしても各々実績を持つ実力者が集まり刺激的なコーラスを聴かせてくれている。
最後3組目はユニットとしては最大の成功を収めたピアレス・クァルテット。彼らはデュオとしても数多くのヒットを残しているヘンリー・バーとアルバート・キャンベルの2人が中心となった4人組で、20年以上に亘り


僕は年代的に彼女はリアルタイムではなく、数年前発行していた





