
東京も梅雨明けということで、夏っぽいものを1枚。60年代半ばに盛んに制作された「ビーチ・ムービー」のサントラ曲を集めたコンピレーションが発売された。水着姿の美女満載の恋愛映画・・となると、古今東西もの凄い数制作されているのだと思うが、一般に「ビーチ・ムービー」と呼ばれるのは1963〜67年にかけて「アメリカン・インターナショナル・ピクチャーズ(AIP)」他数社が制作したものに限られているようだ。そのきっかけとなったのが63年の「Beach Party」で、この映画が予想外のヒットを記録したことから続編の制作が決定し、それに他社が追従する形で以降数年間スクリーンにビキニ娘たちが溢れかえることに。CD収録曲を映画毎に紹介。“本家”「Beach Party(このサントラから4曲が収録されている)」で主人公のサーファーのカップルを演じたのは当時のトップアイドル、フランキー・アヴァロンとアネット。フィラデルフィアとニューヨーク出身のイタリア系タレントがカリフォルニアのサーファーに扮するなんて、考えてみれば妙な配役だが、これがヒットしたのだから結果オーライということで。アヴァロンが歌う主題歌を作ったのはサーフィン/ホットロッド・サウンドには欠かせないゲイリー・アッシャーとロジャー・クリスチャンのコンビ、この曲にはアネットが歌ったバージョンもあるので、他のコンピレーションで探していただきたい。映画に幾分かのリアリティを持たせるためか、この映画にフィーチャーされているのが本物のサーファーで「King of Surf Guitar」の称号を持つディック・デイルで「Secret Surfin' Spot」と「Surfin' and A-Swingin'」で彼はギターばかりでなくボーカルも披露。切れ味鋭いギターに比べれば、ボーカルの方は全くの素人芸だが。
「Beach Party」の大ヒットを受けて制作されたのが翌年の「Bikini Beach(5曲収録)」。ここではゲイリー・アッシャーとロジャー・クリスチャンの名前は既になく、AIPお抱えのソングライター・コンビ、ガイ・ヘムリックとジェリー・スタイナーにバトンタッチ。一番の聴きものは剃髪のサーフ・バンド、ピラミッズの2曲「Bikini Drag」と「Record Run」で、こちらはゲイリー・アッシャーのプロデュースなので正調「サーフィン・サウンド」が聴ける。
以降は本家便乗組入り乱れての「ビーチ・ムービー」ブームで、様々な作品から1〜2曲がピックアップされている。この世界の「女神」であるアネットが歌う曲が1曲しか収録されていないのはいささか物足りないが、その替わりなのか過日の「ジャケガイノススメ」でも目立っていた“カワイコチャン”ドナ・ローレンの曲が3曲収録。ただ、彼女の歌声はいわゆるガールシンガーのそれではなく(声を張り上げるタイプの歌で、やや可愛気に欠ける)、また映画でも決して水着姿を披露しなかったそうなので、シーンではかなり異色な存在ではあるが。有名曲ではジャンとディーンの「Ride The Wild Surf(太陽の渚No.1)」や日本だけで人気のあるアストロノウツの「Surf Party」、ビーチ・ボーイズの「Girls on The Beach」など。ガレージ・バンド、キングスメンが65年に録音したポップな「How to Stuff A Wild Bikini」は初CD化の貴重曲。
「ビーチ・ムービー」ブームは65年には終息に向かい、作風もやや迷走気味に。「Ghost in The Invisible Bikini」なんて一体何が言いたいのかよくわからない映画も作られたようだが、そのサントラとして録音されたナンシー・シナトラの「Geronimo」は、ブレイク直前期にあった彼女の、アイドルから「蓮っ葉ポップス」への過渡期っぽいボーカルが聴けて興味深い。サーフィン/ホットロッド・サウンドは多分に商業的な要素が強く、実際にカリフォルニアで活動していたギター・バンドばかりでなく、山間部を含むアメリカ全土のインスト・バンドの演奏も、このCDで聴けるようなハリウッドで創られた架空の砂浜のBGMも分け隔てなく同じジャンルで捉えられているのがなんだか面白いところ。実際のサントラ・バージョンではなく、他社でシングルやアルバム用に録り直したものを多く収録している点は、どちらがレアなのか判断できないのでいいとも悪いとも言えないが、サーフィン/ホットロッドの幅広さを楽しむ意味でも、アイドル映画の楽し気な雰囲気を味わうという意味でも、夏のBGMにぴったりな1枚だと思う。




















サジタリアス〜





























